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米、対イラン圧力と原油高のジレンマ

【ワシントン=中村亮】トランプ米政権が各国に要請しているイラン産原油の禁輸について、一部の国を適用除外とする可能性が出てきた。イランの中東での影響力抑止に向けて外貨収入源を遮断して最大の圧力をめざす半面、原油の禁輸を急げば原油価格が高騰しかねない。イランの封じ込めと米経済への悪影響回避のジレンマに陥っている。

トランプ政権はイランに「前例のない圧力」をかけるとしていた=ロイター

ボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)は10月31日、イランの近隣諸国を念頭に「(イラン産原油の輸入を)すぐにはゼロにはできないかもしれない」と語った。過去にイランへの軍事攻撃も辞さない構えを見せたタカ派のボルトン氏が制裁に柔軟姿勢を見せたことで、禁輸に例外措置があるとの見方が広がった。米国は11月5日までに原則としてイラン産原油の輸入をゼロにするよう各国に求めてきた。

ロイター通信によると、米国務省のフック・イラン特別代表が10月中旬にインドを訪問。インド側はルピー安による輸入コストの上昇のほか、代替調達が難航していることから、少なくとも来年3月までイラン産原油の禁輸には応じられないとの考えを伝えた。トルコも禁輸の適用除外を訴え、韓国も「最大限の柔軟性」を求めていた。

トランプ大統領は6日の中間選挙を控え、原油価格の上昇に敏感だ。米メディアによると、トランプ氏は9月末、サウジアラビアのサルマン国王と電話して原油市場の安定に努力することで一致した。市場では、イラン産原油を代替できるサウジやロシアが増産すると決めた場合でも、実施は来年以降になるとの見方が浮上している。各国に禁輸を強硬に迫れば原油価格の上昇につながる可能性が出てくる。

5日に発動するイラン制裁では、原油の決済を仕切るイラン中央銀行と各国の取引が禁じられて同国産原油の調達が難しくなる。ただ制裁の根拠となる国防授権法はイラン産原油について「相当の削減」をした場合にはイラン中銀との取引を認め、輸入を継続できるとしている。

オバマ前政権は「相当の削減」を前年比20%の削減としたが、トランプ政権は禁輸を求めた。トランプ政権の要求はそもそも達成のハードルが高いとの見方が多い。

トランプ政権は5月、イランの核開発を制限する国際枠組みから離脱。イランに対して経済面で「前例のない圧力」をかけると宣言していた。原油取引への制裁を緩めればイランの外貨収入源の遮断が遅れかねない。米政権はイランが原油輸出で稼いだ資金を核・ミサイル開発や周辺国のテロ組織支援に回しているとみる。

国務省によると、イランは2012年以降にイエメンのシーア派武装勢力「フーシ」などの支援に少なくても160億ドル(約1.8兆円)を費やした。米政権内ではこうした支援が中東の不安定化につながっているとの見方が多い。

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