JAL「半期で130億円増収」 旅客系システム刷新で

日本航空(JAL)は2018年10月31日、17年11月に実施した旅客系基幹システム刷新により、18年4~9月の半期で前年同期比130億円の増収効果があったことを明らかにした。同日開催した18年4~9月決算会見で、斉藤典和専務執行役員が日経 xTECHの質問に対し明らかにした。
同社は1967年から米IBMのメインフレーム上で旅客系基幹システム「JALCOM」を運用してきたが、17年11月にスペインのアマデウスが提供するクラウドベースの旅客系基幹システム「Altea」へ切り替えた。システム刷新に要した費用は約800億円で、これを18~22年度の5年間にわたり160億円ずつ減価償却する。18年4~9月は上期分として80億円の減価償却費を引き当てたが、これを上回る増収効果を獲得した形だ。
1席・1キロメートル当たりの運賃収入を示すユニットレベニューは、運賃計算方法の変更を除く実質ベースで国際線が前年同期比1.7%増、国内線が8.6%増。このうち旅客システム刷新による効果は、国際線が4%増、国内線が2%増としている。「今年度上期の増収分のうち、かなりの部分が旅客システム刷新の効果だと認識している」(斉藤専務執行役員)
国際線では、JALの海外向けウェブサイトにおける予約画面の使い勝手が改善し予約が増加。特に単価の高いビジネスクラスとプレミアムエコノミークラスの売上高がそれぞれ前年同期比1.5倍に増加した。東南アジアやオーストラリアから日本を経由して欧米に向かう「日本通過旅客」に対しても、適切な割引運賃を提示できるようになったことで予約が4割増加した。
国内線ではシステム刷新によりイールドマネジメント機能を強化したことで単価の高い業務利用の旅客がいつごろ予約するかという予測を精緻にできるようになり、搭乗日直前でも購入可能なビジネス系運賃に対する席数の割り当てを増やした。単価の低い前売り運賃で多くの座席を販売してしまったり、搭乗日直前に業務利用の旅客へ販売できる席がなくなったりといった逸失利益を抑えたことで「ビジネス系運賃の旅客が3%増加した」(斉藤専務執行役員)ことが増収につながった。
有償座席利用率も国際線で82.4%(前年同期比1.3ポイント増)、国内線で72.1%(同0.1ポイント増)と上昇した。「有償旅客に含まれない特典航空券の旅客の搭乗率が5%程度あることを加味すると、搭乗率をさらに引き上げるのは難しい。今後は単価をいかに引き上げるかという点が課題になると思っている」(斉藤専務執行役員)としている。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 金子寛人)
[日経 xTECH 2018年10月31日掲載]