2019年8月26日(月)

病院の2割に「過労死ライン」超えの医師

2018/11/1 15:00
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日経メディカル Online

1カ月の時間外労働時間が「過労死ライン」の80時間を超えた医師がいた病院は20.4%、100時間を超えた医師がいた病院は12.4%に上る――。2018年10月30日に閣議決定された18年版の「過労死等防止対策白書」から、そんな実態が明らかになった。

「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法に基づき、国会に報告を行う法定白書のこと。今回の白書では、重点業種の1つとして医師の勤務実態を調査したアンケート結果が報告されている。

アンケートの対象は、全国の4000病院(有効回答1078件)で、調査対象病院に勤務する医師は2万255人(有効回答3697件)。回答した病院の許可病床数は「200~299床」(21.1%)が最も多く、次いで「100~199 床」(18.8%)が多かった。性別は、男性が 80.1%、女性が 19.0% 。年齢は40 歳代が28.0%、50 歳代が23.4%、30 歳代が21.6%。

医師調査結果(n=3697)によると、調査票を受け取った勤務先病院(本病院)での平均的な1週間の勤務時間(通常期)は、「40時間以上50時間未満」が34.1%と最も多く、「50時間以上60時間未満」(20.5%)、「60時間以上80時間未満」(16.8%)、「30時間以上40時間未満」(14.2%)、「80時間以上」(2.5%)と続き、平均 48.0時間だった。

平均的な1週間(通常期)における労働時間(医師調査)(過労死等防止対策白書より抜粋)

平均的な1週間(通常期)における労働時間(医師調査)(過労死等防止対策白書より抜粋)

勤務時間が終了しても病院から早く退出できない、または勤務開始時間よりも早く出勤する理由は、「診断書やカルテ等の書類作成のため」(57.1%)が最も多い。近年、病院では医師事務作業補助を担うクラークの配置が進んでいるが、依然として書類作成の負担が大きいことが分かる。次いで多かったのは、「救急や入院患者の緊急対応のため」(57.0%)で、「患者(家族)への説明対応のため」(51.8%)、「手術や外来の診療時間の延長のため」(47.5%)が続いた。

業務に関連したストレスや悩みが「ある(あった)」と回答した医師は75.5%に達し、その内容を見ると、「個別患者の様子(容体、経過等)」が39.9%と最も多く、次いで「休日・休暇の少なさ」、「患者(家族)からのクレーム対応・訴訟リスク」(ともに34.0%)、「夜勤(宿直勤務含む)の負担の大きさ」(30.9%)だった。

過重労働防止のために病院において必要だと感じる取り組みを尋ねたところ、「医師を増員する」が57.6%と最も多かった。「医療クラーク(医師事務作業補助者)を増員する」が半数近かったほか、約3割の医師が「コメディカル(医療スタッフ)を増員する」「他業種との分担を推進する」を挙げており、人員を手厚くしてタスク・シフティングを進める必要性を感じている医師が多いことが分かる。その他では「当直・夜勤明けの休みを確保する」が52.0%と過半数の医師が挙げた。

一方、病院(n=1078)に対し、過重労働の防止に向けて実施している取り組みを尋ねたところ、最も多かったのが「医師事務作業補助者や看護補助者を増員している」(59.5%)で、次いで「健康相談又はメンタルヘルスに関する相談の窓口または担当者を設置している、専門職(リエゾンナース等)を配置している」(55.2%)、「院内保育施設を設置・充実させている」(52.8%)。

さらに、過重労働防止のための取り組みを実施するに当たっての課題については、「職員自身の理解・協力が必要である」が56.9%と最も多く、「人員を採用したいが、募集しても応募がない」(49.2%)、「求められる医療機能を提供できなくなる恐れがある」(38.1%)、「医療従事者の勤務環境改善について国民や患者(家族)の理解・協力が必要である」(35.5%)と続いた。

(日経メディカル 満武里奈)

[日経メディカル Online 2018年10月31日掲載]

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