2018年11月16日(金)

仮想通貨の「キングメーカー」に異変?

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2018/11/5 2:00
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CBINSIGHTS

 米国最大級の仮想通貨交換会社コインベースは今年、日本に進出した。世界30カ国以上で約2000万人が利用しているとされる。仮想通貨市場への影響力の大きさから「コインベース・エフェクト(効果)」との言葉も生まれたほどだ。ただ、仮想通貨には「ブーム」が沈静化しつつあるとの指摘もある。コインベースはその影響力を維持しているか。2つの仮想通貨の値動きと取扱量から同社の現在地を推し量る。

コインベースは仮想通貨の「キングメーカー」と言われる。これまでコインベースが扱い始めた仮想通貨が価格も時価総額も急上昇してきたからだ。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

例えば仮想通貨の「ビットコインキャッシュ(BCH)」だ。コインベースは2017年12月19日午後7時(米東部時間)ごろ、第4の通貨となるBCHの取り扱いを始め、利用者を驚かせた。

投資家がこのニュースに反応したため、世界の取引所でBCHの取引量が急増した。一部の取引所では発表から1日たった20日の終値が4000ドルに達するなど、18日の2200ドル前後から急騰した。取引量も120億ドル近くに上り、18日の25億ドルから380%増えた。

ビットコインキャッシュ、「コインベース効果」で急騰
(17年11月21日~12月26日のBCHのドル建て価格と取引量)

ビットコインキャッシュ、「コインベース効果」で急騰
(17年11月21日~12月26日のBCHのドル建て価格と取引量)

これはほんの一例だが、多くを物語っている。仮想通貨は特に現在の市場環境ではなかなか手に入らないため、「アクセシビリティー(入手しやすさ)プレミアム」がつきやすい。仮想通貨は手に入りやすくなると、価格も上がる傾向にある。

もっとも、これは仮想通貨ブームが頂点に達していた昨年12月の話だ。コインベースは市場でなお変わらぬ影響力を発揮しているのだろうか。

コインベースは18年10月11日、機関投資家向けの取引プラットフォーム「コインベースプロ」に仮想通貨ゼロエックス(ZRX)を追加すると発表した。ZRXは仮想通貨の分散型取引を可能にするプロトコル「0x」のトークンだ。16日には個人投資家向けのZRXの取り扱いも始めた。

ZRX、コインベースでの取り扱い開始で16%上昇
(18年9月11日~10月16日のZRXのドル建て価格と取引量)

ZRX、コインベースでの取り扱い開始で16%上昇
(18年9月11日~10月16日のZRXのドル建て価格と取引量)

ZRXの取引量は11日以降の1週間で急増したが、これはあくまで相対的だ。16日の取引量は4400万ドル(ただし、17日終日の取引量はこれよりも相当多かったようだ)と、市場が最も活発だった1月の2億ドル以上に比べれば控えめだった。

一方、10月16日のZRXの終値は0.85ドルと、前日の0.73ドルから16%上昇した。だがこれも相対的な数値にすぎない。ZRXは1月に2.37ドルの最高値を付けている。

このデータによると、コインベースが仮想通貨業界でなお一定の影響力を維持しているのは間違いない。だが競争激化と仮想通貨の投機ブーム減退により、同社の市場での地位が低下している可能性もある。

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