2019年7月20日(土)

メルケル党首退任、極右に勢い 後任レース、旧敵も立候補

2018/10/31 17:57
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【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相が与党、キリスト教民主同盟(CDU)党首の退任を表明したことで、極右勢力が勢いづいている。党首交代を成果として強調し、2019年5月の欧州議会選挙の勝利につなげる思惑がある。一方、メルケル氏の後任党首候補には同氏のかつての政敵、メルツ氏が名乗りをあげ、連立組み替えの観測も浮上し始めた。

ドイツの極右政党、ドイツのための選択肢(AfD)のワイデル院内総務=ロイター

ドイツの極右政党、ドイツのための選択肢(AfD)のワイデル院内総務=ロイター

「狩りは成功した」。極右政党、ドイツのための選択肢(AfD)のワイデル院内総務は自分たちがメルケル氏を退任に追い込んだと強調した。昨年9月の連邦議会(下院)選挙で第3党に躍進し、最近の州議会選挙でも順調に議席を得て勢力を広げつつある。

メルケル氏の影響力低下は、ドイツだけでなく欧州全体の極右勢力にとって好都合だ。イタリアの極右、同盟党首のサルビーニ副首相はメルケル氏退任の決め手となった独州議会選での与党敗北について「メルケル氏と(緊縮財政を唱える)独連邦銀行の仲間たちへの素晴らしい挨拶」と指摘。欧州連合(EU)を支配する既存政党への打撃との考えを示した。

イタリアの極右、同盟党首のサルビーニ副首相=ロイター

イタリアの極右、同盟党首のサルビーニ副首相=ロイター

マクロン仏大統領はメルケル氏が「欧州の価値」のために戦ってきたと強調するが、逆風は強まるばかり。19年5月の欧州議会選では極右勢力の獲得する議席割合が高まるとみられている。

メルケル氏(右)の旧敵、メルツ氏も党首選に立候補(2002年)=ロイター

メルケル氏(右)の旧敵、メルツ氏も党首選に立候補(2002年)=ロイター

メルケル氏の後任党首争いでは、2000年代前半に院内総務を務めたメルツ氏が30日、立候補を表明した。メルケル氏との政争に敗れて政治の表舞台から遠ざかっていたが、経済通で保守派から根強い支持がある。同じ保守のシュパーン保健相、メルケル氏に近いクランプカレンバウアー幹事長との三つどもえの構図になっている。

保守系候補が党首になった場合、中道左派、ドイツ社会民主党(SPD)との大連立政権が崩れ、メルケル氏が退任に追い込まれかねない。SPD元党首のガブリエル氏は独紙で、メルケル氏は19年5月までに首相職を退くとの考えを示した。

SPDが大連立から抜ければ政権運営は行き詰まり、新たな連立の枠組みを見いだせない限り、解散・総選挙が視野に入る。メルケル氏が退けば、一度破談になった自由民主党、緑の党との3党連立(政党のシンボルである黒、黄、緑の3色から名づけた、いわゆる「ジャマイカ連合」)が可能になるとの見方が急浮上している。

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