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現在の日本競馬を象徴 「独り勝ち」の光と影

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2018/11/3 6:30
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10月28日の天皇賞・秋(東京・G1)で、10月の競馬は幕を下ろした。14日の秋華賞(京都・同)で始まった3つのG1は全て、クリストフ・ルメール騎手(39)騎乗のノーザンファーム(NF)生産馬が制した。加えていえば、優勝馬3頭はいずれも美浦トレーニングセンター所属で、福島県のNF天栄でも調教されていた。現在の日本競馬を象徴するような結果で、中央競馬は「NFのNFによるNFのための競馬」になっていると考えざるを得ない。独り勝ちの影の部分も忍び寄っている。

アーモンドアイ、牝馬三冠も通過点

秋華賞で6年ぶり史上5頭目の3歳牝馬三冠を達成したアーモンドアイ(美浦・国枝栄厩舎)、菊花賞で史上最少キャリア(4戦目)での優勝を果たしたフィエールマン(同・手塚貴久厩舎)は、ともに長いレース間隔で臨んだ。アーモンドアイはオークスから約5カ月ぶりの実戦。フィエールマンは7月1日のラジオNIKKEI賞(福島、G3)2着以来の出走だった。以前はG1級のレースに臨む場合、前哨戦を走るのが常識だった。だが、2つのG1でそんな常識は過去のものになった。

秋華賞を制し、史上5頭目の牝馬三冠を達成したアーモンドアイ=共同

秋華賞を制し、史上5頭目の牝馬三冠を達成したアーモンドアイ=共同

アーモンドアイは桜花賞を3カ月ぶりの出走で快勝しており、衝撃はさほどではない。2001年のテイエムオーシャン、06年のカワカミプリンセスも、オークスから前哨戦抜きで秋華賞を制している。アーモンドアイに至っては、桜花賞とオークスの間の間隔(6週)が自身最短だった。休養明けはむしろ普段通りで、しかも陣営は今回の秋華賞を、明らかに「単なる通過点」と考えていた。オークス2、6着のリリーノーブル、サトノワルキューレに加え、前哨戦の紫苑(しおん)ステークス(G3)圧勝のノームコアまでが出走を回避し、メンバーも軽かった。そのあたりを意識してか、余裕を残した仕上げで、美浦から京都への輸送がありながら当日は14キロの大幅体重増。それでも内容は桜花賞、オークス同様の完勝だった。京都内回りコースが数少ない不安材料だったが、鮮やかに差し切り、三冠を達成した。

破格の臨戦過程と経験不足克服

同じ休養明けでも、もっと破格だったのは菊花賞のフィエールマンの方。1984年のグレード制施行後、最少のキャリアで菊花賞を制したのは、87年のサクラスターオーの6戦だった。だが、フィエールマンはわずか4戦目。菊花賞前の3戦は東京、中山、福島の芝1800メートルを1戦ずつで、2000メートルの経験もなかった。経験の長いファンほど「こんな過程で勝てるはずがない」と考えてしまう。また、現在の競走体系では3歳馬が菊花賞以前に3000メートル以上を走る機会がなく、全馬が未経験の距離に挑む形だ。こうした場合、業界では「息をつくる」と表現される部分が重視される。3~5週前にステップ競走を走らせて実戦の勘を確保し、調教では長めの距離を走らせる調整方法が広く行われてきた。

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