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サッカーACL、Jリーグ勢の連覇に期待

サッカージャーナリスト 大住良之

2017年の浦和に続き、Jリーグのクラブが「アジア王者」の座に挑む。11月3日と10日に行われるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝に、鹿島が進出したのだ。

鹿島は準決勝で韓国の水原と対戦、ホームで0-2から3-2の大逆転勝ちを収めると、10月24日の第2戦では一時1-3と大きな差をつけられながら冷静に攻め返して3-3の引き分けに持ち込み、初の決勝進出を決めた。

02~03年シーズンにスタートし、今年で16回目を迎えたACL。鹿島はその半分に当たる8大会に出場してきた。日本ではG大阪の9回に次ぐ出場数だ。だが過去7大会は失望の連続だった。7大会のうち6大会で1次リーグを突破したのだが、いずれもノックアウトステージの最初のラウンドで敗退していたのだ。

ノックアウトステージでの初勝利は17年の「ラウンド16(1回戦)」の広州恒大(中国)戦。ホームで後半追加タイムにFW金崎が決勝点を挙げ、2-1の劇的な勝利をつかんだのだが、アウェーでの第1戦を0-1で落としており、「アウェーゴール」で敗退を余儀なくされた。

アジアでも伝統の勝負強さ発揮

しかし今年は「ラウンド16」で上海上港(中国)にホームで3-1、アウェーでは1-2で競り勝ち、準々決勝では天津権健(中国)にホームで2-0、アウェーでも3-0と連勝、準決勝の水原三星戦も負けずに乗り切った。鹿島は過去の屈辱を完全に払拭し、四半世紀にわたって国内で見せ続けてきた「勝負強さ」を、アジアの舞台でも遺憾なく発揮できるようになったとみていい。

セルジーニョ(手前)の活躍が鹿島の決勝進出の大きなカギになった=共同

今夏、鹿島はDF植田直通とFW金崎夢生という攻守の中心選手を移籍で失ったが、即座に長身DF鄭昇炫(チョン・スンヨン)を鳥栖から、そしてFWセルジーニョをブラジルから補強した。このセルジーニョが鹿島の決勝進出の大きなカギとなった。

180センチ、82キロ。特別大きいわけでも速いわけでもない。圧倒的なテクニックがあるわけでもない。正直にいうと初めて彼を見たとき、「若手の日本人選手を使う方がいいのではないか」とさえ感じた。

だがこの選手には特別な能力があった。「得点をつくり出す才能」だ。ACLには8月の準々決勝から出場し、準決勝まで4試合連続得点。合計4ゴールだが、この間に鹿島が取った9ゴールのうち実に8点に関与しているのだ。特に準決勝の水原三星戦では、2試合合計6得点のすべてが彼の決定的なプレーから生まれている。

金崎を失った鹿島に間髪を入れずにセルジーニョを連れてきたのが、鹿島のレジェンドであるジーコ氏だ。7月に鹿島のテクニカルディレクターに就任、今年のACLでの勝負強さの背景に、どんな勝負でも勝つことにこだわるジーコ氏の存在があるのは間違いない。

この鹿島と決勝で対決するのはイランの首都テヘランをホームとするペルセポリス。2年連続でACL西地区の準決勝に進出し、今年は元スペイン代表MFシャビを擁するカタールのアルサッドに競り勝って初の決勝進出を果たした。

スピード感あふれる攻撃も要注意

かつての正式名称は「ピルズィ・テヘラン」で、多くのイラン代表選手を抱えて国内で無敵を誇った。1990年代にはダエイ、アジジ、マハダビキア、バゲリ、カリミら日本でも知名度の高い名選手を擁し、黄金時代を築いた。近年はイラン代表選手の大半が欧州を中心とした国外のクラブでプレーしているが、それでも今年のワールドカップにはGKベイランバンドら2人を送り込んだ。身長194センチ、ワールドカップではクリスティアノ・ロナルド(ポルトガル)のPKを止めたベイランバンドは、鹿島にとって大きな壁となる。

攻撃は破壊的なスピードを誇るナイジェリア人のメンシャと23歳のイラン代表、アリプールが2トップを組む。アリプールは今季のACLで6ゴールを記録している。監督はイラン代表や山東魯能(中国)などを歴任、アジアのサッカーを熟知したクロアチア人のイバンコビッチ氏。GKベイランバンド、イラン代表116試合出場を誇るセンターバックのホセイニを中心とした堅固な守備とともに、一瞬のうちに得点チャンスをつくるスピード感あふれる攻撃にも注意しなければならない。

鹿島は決勝に向け、U-19アジア選手権から安部(右)を呼び戻した=共同

決勝は3日にカシマスタジアムで初戦が行われ、1週間後の10日にテヘランで第2戦となる。

鹿島は決勝に向けて小柄なテクニシャンのFW安部裕葵をインドネシアで行われているU-19(19歳以下)アジア選手権から呼び戻し、万全の布陣で臨む。大きな不安は3日と10日に予定されていたJリーグのC大阪戦(ホーム)と柏戦(アウェー)をそれぞれ前倒しし、10月31日、11月6日に実施すること。11日間で4試合の連戦となることだ。

だが、どんな条件でも言い訳せずにすべての試合で勝つために全力を尽くすのが鹿島が四半世紀にわたって培ってきた「サッカー文化」。Jリーグ勢の2年連続アジア制覇に期待したい。

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