2018年11月17日(土)

最北の農業高、羊肉で活路 ふるさと納税返礼品に人気

社会
2018/10/31 9:25
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北海道遠別町にある日本最北の農業高校、遠別農業高の生徒が敷地内で羊を育て、ラム肉として販売している。同校は定員割れが続き、存続も危ぶまれた。町がラム肉をふるさと納税の返礼品にしてPRしたところ、人気を呼んで寄付額が急増。同校の取り組みが知られるようになり、新入生も増加に転じた。町は「想像以上の成果だ」と好循環を喜んでいる。

遠別農業高で飼育する羊の体調を確かめる生徒たち(19日、北海道遠別町)=共同

遠別農業高で飼育する羊の体調を確かめる生徒たち(19日、北海道遠別町)=共同

日本海にほど近い同校は全校生徒59人で、実習農場を含めると約25ヘクタールの敷地を有する。畜産分会の生徒を中心に、サフォーク種の羊20~40匹程度を飼育。繁殖から食肉加工まで手掛けている。飼育を指導する教諭、石川ウーリーエルさん(28)は「ラム肉の生産、加工を専門的に学べる高校は全国でも本校しかない」と胸を張る。

生徒たちは羊舎で餌やりや掃き掃除をしながら「膝から血が出ている」「ふんがいつもより軟らかい」と1匹ずつ体調を確認する。3年の大橋琉之介さん(17)は「羊は繊細な動物。消費者においしく食べてもらうため、ちょっとした変化を見逃さないようにしている」と話す。子羊の肉をスライスやひき肉、ソーセージにして、校内で定期的に開かれる直売会に出品してきた。

人口約2700人の遠別町で同校は唯一の高校。近年は1学年の定員40人に対して新入生は20人に届かず、統廃合の検討対象となっていた。若者の流出に悩んでいた町は、同校の存続につなげようと2014年度からラムソーセージ、15年度からスライス肉などをふるさと納税の返礼品にしてPRした。

ラム肉の加工作業をする生徒たち(19日、北海道遠別町)=共同

ラム肉の加工作業をする生徒たち(19日、北海道遠別町)=共同

生徒の発案でくず米を混ぜた飼料を羊に与えており、返礼品として受け取った人から「肉が柔らかくておいしい」と好評を得た。町のふるさと納税の寄付額は、14年度の約660万円から17年度には約1億4千万円に急増。返礼品の中でもラム肉はすぐ品切れとなる人気ぶりだ。

18年度の新入生は26人に増え、統廃合を検討する目安となっている定員の半数を確保した。ふるさと納税で同校を知り、道外から来た生徒もいる。遠別町総務課でふるさと納税を担当する野村達宏さん(32)は「高校生が増え、町の活力につながる」と語った。

16年度にはふるさと納税の寄付金で全生徒にタブレット端末を貸与し、授業で活用。佐藤裕二校長(51)は「命に触れながら先進技術も学んで、農業の未来を担う人材になってほしい」と期待を込めた。〔共同〕

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