2018年11月15日(木)

早大の変心 大学発スタートアップ「大歓迎」

コラム(ビジネス)
スタートアップ
2018/10/30 17:28
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早稲田大学は30日、ベンチャーキャピタル(VC)2社と提携して大学発スタートアップを育成すると発表した。VCは大学の知的財産を活用したスタートアップに投資するファンドを設立。大学研究室と交流も深める。スタートアップが「早大発」と名乗ることに否定的だった早稲田大学。方針変更の背景には何があるのか。

早大は学生数が多いこともあり、安易に「早大発」と称するスタートアップが過去に続出した

早大は学生数が多いこともあり、安易に「早大発」と称するスタートアップが過去に続出した

■安易な「早大発」お断りだったが

今回、ウエルインベストメント(東京・新宿)とビヨンドネクストベンチャーズ(同・中央)の2社を提携先として選定した。VC2社はそれぞれ10億円規模の早大専用ファンドを立ち上げる。

ウエルでは、2019年春をファンド設立のメドとし、資金は早大OBや出身経営者などから集める。研究室で生み出された技術やビジネススクールの受講者など、早大の教育成果を基に起業したスタートアップに特化して出資する。

ウエルは早大から2割弱の出資を受けるVCだが、早大と関係ない企業にも出資してきた。専用ファンドでは「早大との連携を密にして、世界に通用するスタートアップを発掘・育成したい」(瀧口匡社長)。

ビヨンドは18年中に専用ファンドを作る。早大と出資関係はないが、研究開発型スタートアップの投資や育成プログラムの運営で実績を持っており、ノウハウを生かして起業家を育てる。

一方、早大はVCと組むことで「学内にある事業化のシーズ(種)の発掘から起業、事業成長まで一貫して支援する仕組みがなかった課題を解消したい」(早大の産学官研究推進センター)という。

早大は学生数が多いこともあり、安易に「早大発」と称するスタートアップが過去に続出。早大発と名乗っても「大学が関知、認定するところではない」とする通知を11年末に大学自ら出した経緯がある。だが大学発企業の上場で評価を高める「母校」が増加しており、しゃくし定規の姿勢を改め、起業家支援の巻き返しを急ぐ。

■74社、東大の3分の1

起業家育成講座や共用オフィスの提供など、スタートアップの支援制度は早大にもある。だが経済産業省によると大学発スタートアップの社数は、早大が74社(17年度)。東京大学の3分の1、京都大学の半分の水準にとどまるのが現状だ。

東大発のユーグレナ、筑波大学発のサイバーダイン――。上場した有力スタートアップを通じて大学の評価が高まる事例が増えている。主要な国立大や慶応義塾大学は自前でVCを立ち上げている。米スタンフォード大学や中国・清華大学など世界の主要大学は起業家教育を最重要分野に位置づけている。

早大は理系学部が多くあり技術革新につながるシーズは多くあるはずだ。だが「大企業志向が依然強く、起業やスタートアップと組むことに難色を示す研究者は多い」(あるVC幹部)との声が聞かれる。

大学とスタートアップとの距離を縮めるための本気の取り組みが、大学の国際競争力の向上つながる。(榊原健)

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