2018年12月16日(日)

医学部の地域枠増員 一般枠に使われる実態が判明

科学&新技術
BP速報
2018/10/30 13:00
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日経メディカル Online

厚生労働省は10月24日、医療従事者の需給に関する検討会の医師需給分科会を開催。分科会では2036年までに医師の地域偏在の解消を目指すことをおおむね了承した。また、現状の医学部入試地域枠において制度の抜け穴を用いた一般枠の増員があることが報告され、改めて、今後は地域枠を別途設けた入試を行う方針を示した。

2018年7月に改正された医療法および医師法により、医師少数区域を認定し、都道府県に対して医師確保計画を策定することを求めることが定められている。同日の分科会では、医師少数地域の医師を充足させるため、地域医療対策協議会で協議を行った上で知事が大学に対して地域枠の設置・拡充を求めることや、当該自治体で医師不足を解消できない場合には他の都道府県の大学に対して地域枠の設置・拡充を要請できるようにすることを了承した。22年4月以降の医学部入学者を対象とする。

目標医師数は、二次医療圏、三次医療圏ごとに、3年ごと(20年~24年だけは4年)に計画期間の終了時点で確保すべき目標医師数を、地域ごとの人口構成の違いや医師の性別・年齢分布などを反映した医師偏在指標を用いて算出。医師偏在指数が下位の一定の割合以下の地域の医師を、医師の派遣調整や地域枠による増加分で確保する。どの程度の割合の地域を対象にするかについては、今後議論する。最終的な解消のスケジュールは36年を設定するが、分科会では、「医師需給のピークは36年より前にくる。年度ごとにモニタリングが必要なのではないか」(産業医科大学教授の松田晋哉氏)という意見の他、「医師数の偏在だけでなく、診療科偏在まで踏み込まなければいけないのではないか」(全日本病院協会副会長の神野正博氏)という意見も出された。

■手挙げ方式の地域枠に「ずる」との厳しい声も

地域枠については現在、入学試験時に地域枠を別途選別する「別枠方式」と、一般枠と地域枠を共通で選抜する「手挙げ方式」がある。だが、同日の分科会では、文部科学省より、別枠方式では89%の入学者に奨学金を貸与し、うち93%が地域で働く義務を最後まで履行していたのに対して、手挙げ方式の場合は、奨学金の貸与は60%にとどまり、義務の履行者も82%にとどまるという調査結果が示された。地域枠として増員された医学生が一般枠として入学していることに、委員からは問題視する意見が相次いで出された。NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML」理事長の山口育子氏は「手挙げ方式は"ずる"だ」と一刀両断。「医師需給分科会としては、緊急医師確保対策という名目での定員増だったが、なし崩しになってしまう」と主張した他、聖路加国際病院副院長の山内英子氏も、「地域医療への意志を持った受験生を切り落としている可能性がある」と指摘した。

今後、厚労省では文科省と連携しながら、地域枠の各大学の状況を実名を公表していくと同時に、なるべく早く別枠方式に統一する。ただし、厚労省では、別枠方式にすることで地域枠が埋まらなくなった場合も、一律に枠の返上を目指さず、医師の偏在状況を見ながら調整をしていく。

(日経メディカル 山崎大作)

[日経メディカル Online 2018年10月29日掲載]

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