「ブラジルのトランプ氏」が次期大統領に ばらまき路線再燃も
改革継続主張も大衆迎合の影 外交は自国第一

2018/10/29 17:49
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【リオデジャネイロ=外山尚之、サンパウロ=丸山修一】次期ブラジル大統領に、過激な言動で「ブラジルのトランプ氏(米大統領)」と呼ばれるジャイル・ボルソナロ下院議員(63)が就く。財政規律重視の経済運営を表明する一方、所得減税や低所得世帯向けの補助拡充も打ち出す。政治手法はポピュリズム(大衆迎合主義)色が強く、ばらまき政策が再開される可能性もくすぶる。

28日、支持者に手を振るボルソナロ氏(リオデジャネイロ)=ロイター

元軍人で右派のボルソナロ氏は28日投開票の大統領選の決選投票で当選を決めた。2019年1月に発足する新政権の財務相に市場を重んじる経済学者パウロ・ゲジス氏を指名し、国営企業の民営化、税制の簡素化などを打ち出している。16年に大統領を罷免されたルセフ氏(労働党)の後を受けた中道右派、ブラジル民主運動党のテメル現大統領の改革路線を基本的に継承する姿勢だ。

ところが「本気度」には疑問符がつく。選挙戦の終盤、ボルソナロ氏は突如、所得減税を提案した。最低賃金の5倍(月額約15万円)までは所得税を免除し、それを超えても税率は一律20%に抑えるという内容だ。実現すれば、給与所得者の6割が無税となる。テメル政権で抑えられているばらまき政策が再燃する気配が漂ってきた。

横行する犯罪に厳罰で臨む姿勢はトランプ氏に通じる。自衛のため銃保有規制の緩和を主張したこともある。女性が出産で職場を離れるとして「給与を男性より下げるべきだ」とも公言する。

対外で自国第一を振りかざし、中国脅威論を説くのもトランプ流だ。

「中国はブラジルから(何かを)買うのでなく、ブラジルを買収しようとしている」「我々の電力を中国に委ねたいと思うか」。ボルソナロ氏は9日、地元メディアにこう述べ、ブラジルで鉱山や送電網への投資を繰り返す中国を強く批判した。

後に撤回したが、選挙運動では温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」や国連から抜けるとも口走った。

ボルソナロ氏の政党は議会で少数派。同氏への有権者の期待は、既存の有力政党への失望の裏返しだ。12月にメキシコ大統領に就任するロペスオブラドール氏は左派だが、新興政党の出身で、ポピュリズム色はボルソナロ氏に似る。市民社会が既存政治を拒む流れが中南米にも及んできた。

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