2018年11月17日(土)

徴用工めぐる日本企業の賠償焦点 韓国最高裁30日判決

朝鮮半島
2018/10/29 18:30
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【ソウル=恩地洋介】第2次大戦中に強制労働を強いられたとして韓国人男性4人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟で、韓国大法院(最高裁)は30日に判決を言い渡す。賠償を命ずる判決が出た場合、日本企業の資産の差し押さえ訴訟や、類似の裁判が相次ぐ可能性もある。「解決済み」の個人請求権の扱いも絡み、展開次第では重大な日韓の外交問題に発展しかねない。

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 ソウルの最高裁前で、徴用工訴訟での原告勝訴を訴える支援者ら=24日(共同)

ソウルの最高裁前で、徴用工訴訟での原告勝訴を訴える支援者ら=24日(共同)

訴訟は2005年、戦時中に岩手県釜石市の製鉄所に送られた李春植(イ・チュンシク)さんと他の原告3人が、過酷な労働を強いられたとして新日鉄住金を訴えた。原告のうち李さんを除く3人は死去している。

大法院は12年5月に個人請求権は消滅していないとの判断を示し、原告が敗訴した二審判決を破棄。ソウル高裁は13年の差し戻し控訴審で、新日鉄住金に1人当たり1億ウォン(約1千万円)、計4億ウォンの支払いを命じる判決を言い渡した。同社は上告したが大法院は5年間、審理を開いてこなかった。

日本政府と韓国の歴代政権は個人請求権の問題について、1965年の日韓請求権協定に基づき解決済みとの立場を取ってきた。2005年には当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が、日本が当時支払った無償3億ドルの経済協力に請求権問題を解決する資金が含まれているとの見解を示している。

請求権協定は日韓国交正常化の根幹だ。日本政府は原告が勝訴した場合、協定を否定するような対応は取りえず「韓国政府が解決すべき問題」との姿勢を明確にする構え。外交協議で解決が難しい場合は、国家間の紛争を扱う国際司法裁判所(ICJ)への提訴も視野に入れている。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は司法判断を尊重する考えを明らかにしている。韓国の法曹関係者の間には、韓国政府が中心となって財団を設立し、そこに日本の経済支援を受けて設立された浦項総合製鉄(現ポスコ)や日本の政府と企業が参加する構想もある。

韓国内では訴訟を巡り、保守系紙が日韓の外交紛争につながる可能性を指摘している。大半のメディアの関心は、日韓関係への影響を懸念した朴槿恵(パク・クネ)前政権が裁判の遅延を大法院に働きかけた疑惑に集中している。

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