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高齢層向け元本取り崩しは定着するか(投信観測所)

2018/10/31 12:00
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金融庁は「高齢社会における金融サービスのあり方」の検討を進めている。そんな中で、最近目にするようになったのが「取り崩し」という言葉だ。金融庁が9月下旬に公表したリポート「金融行政のこれまでの実践と今後の方針(平成30事務年度)」の中でも「現役時代の資産形成と退職後の効果的な運用・取り崩しを切れ目なく行えるよう、顧客のライフステージ・状況に応じたきめ細かな商品・サービスの提供の推進とそれを支える環境の整備」が課題の一つとして掲げられている。

運用資産の「換金」ではなく「取り崩し」なのは、預貯金・退職金・運用資産といった一連の金融資産を一体化して扱う意味合いを込めているように感じるが、こうした政策を先取りするかのように、運用しながら資産を取り崩すことを明確に打ち出したファンドの登場が目立ってきた。

■目標分配率とセットで元本取り崩しを明記

表Aに示すのはその代表格のファンドで、年間の目標分配率を定め、運用リターンが目標分配率に届かない場合の分配金は元本の一部取り崩し、もしくは払い戻しになると目論見書の特色や留意事項でしっかり明記しているのが特徴だ。今のところ、総じて規模は小さく、運用は始まったばかりだが、10月の市場波乱を受けて、基準価格はいずれも当初元本(1万円)割れしている(10月19日時点)。

従来、毎月の分配金を目標額として定めた「目標払い出し型」のファンドはあるが、分配を繰り返すたびに基準価格が下がっていくので「資産寿命」が短くなりがちだ。分配金の払い出しを定額方式から定率方式に変え、分配金を基準価格に対する率で支払うようにすると、基準価格が高くなるほど分配金は増える一方、逆に下がると分配金も減る。そのため資産が枯渇しないよう寿命を長く保ちながら、分配金を出し続けやすいという利点がある。

資産寿命の長さよりも分配率を優先したタイプもある。5月に設定された隔月分配型の「ライフ・ジャーニー」(三井住友アセットマネジメント)は、「短期金利相当分+年3%」を中長期的な目標リターンとしている。「かしこく使うコース」の目標分配率が年3%なのに対し、「充実して楽しむコース」の目標分配率は年6%で、想定する運用リターンよりも年3%近く高い。

「充実して楽しむコース」については、留意事項として「中長期的な目標リターンを達成した場合においても、それよりも多くを分配(資金払い出し)するため、実質投資元本の取り崩しになる。そのため、投資元本は小さくなり、結果的におおむね分配の都度、分配金の金額は小さくなっていく」と目論見書に明記している。

■米国では低コストの「目標分配率&元本取り崩し」型も

「目標分配率&元本取り崩し」を明記したファンドは日本固有というわけではない。運用先進国の米国では以前から「マネージド・ペイアウト・ファンド」と呼ばれる同種のファンドが販売されている。

指数連動型インデックス運用大手のバンガード社が2008年に設定した「Vanguard Managed Payout Fund (VPGDX) 」は、同社のインデックスファンドを中心に世界の株式や債券、商品などに分散投資する毎月分配型のファンドだ。目標分配率は年4%で、運用リターンがそれに届かない場合は「Return of Capital」(投資金の返還)として元本を取り崩す。

運用成績は堅調だ。18年9月末時点で過去10年の米ドル建てリターン(分配金再投資ベース)は年率約7%。純資産総額は20億ドル。運用コストは総経費率が0.34%と格安だ。

■資産の積み上げ(アキュムレーション)と取り崩し(デキュムレーション)

「人生100年時代」を合言葉に、高齢層をターゲットとする運用資産の「取り崩し」方に工夫を凝らしたファンドの具現化が今後、一段と活発になってきそうだ。

「ライフ・ジャーニー」を実質的に運用する米資産運用大手のブラックロックの日本法人、ブラックロック・ジャパンの有田浩之・代表取締役社長は「『資産の積み上げ(アキュムレーション)』と『資産の取り崩し(デキュムレーション)』の両方が満たされるよう、社を挙げて『人生100年時代』にふさわしいファンドの開発と提供に取り組んでいく」と意気込みを語る。

「日本は先進国の中でいち早く長寿・高齢化社会に突入した。日本人が『生命寿命』『健康寿命』と共に、どう『資産寿命』を延ばしながら定年退職後の生活を乗り切っていくか、他国が固唾をのんで見守っている。ここ数年が勝負」(有田社長)という。

「元本の取り崩し」を目論見書で明記するのは、「分配金はすべて収益(もうけ)の還元に他ならない」という投資家の勘違いを払拭するためには一歩前進だ。

ただ、元本を取り崩しても支払った手数料や運用コストは戻ってこない。運用コストも安くはなく、運用資産を一部換金して足りない分は預金や年金を下ろすのに比べ、どのように利便性が高まるのか丁寧な説明も求められる。

「ライフ・ジャーニー」は目標分配率に沿った柔軟な元本取り崩しを実現するために、外国籍のファンドを介した運用の仕組みを採用している。低コスト化を促進するには分配原資に関する制約を一部解除するなど、投信計理面のルール変更が必要となる可能性もある。

果たして、「元本の取り崩し」は今後、高齢層を中心とした投資家にどう受け入れられ、定着していくのだろうか。

(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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