2019年6月24日(月)

アライグマ 都心すみかに 荒い気性、空き家で繁殖

2018/10/29 9:53
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アライグマ(環境省提供)=共同

アライグマ(環境省提供)=共同

外来種のアライグマが生息域を広げ、都心部での目撃が相次いでいる。1970年代のペットブームの後で逃げ出したり捨てられたりした個体が野生化。都市環境に適応、空き家などにすみ着いて繁殖を続けているとみられる。家屋や農作物の被害も相次ぎ、自治体はワナを仕掛けて地道な駆除作戦を続けている。

17日夜、東京都港区赤坂の繁華街が一時騒然となった。街路樹の上にいたのは1頭の小型犬ほどのアライグマ。警察官や消防隊員が駆けつけ、木から落ちたところを捕獲すると、網の中で爪を立てて懸命にもがいた。

都自然環境部の担当者は「都心には相当数のアライグマが生息している」。10年ほど前までは多摩地区など都西部の山間部が中心だったが、近年は練馬や杉並などの23区内で目撃や捕獲が増えている。2016年度の都内の捕獲数は過去最多の599頭。「正確な生息数はつかめていない」という。

捕獲業者「アライグマ駆除ザウルス」(東京・世田谷)のスタッフは「アライグマの隠れ場が街中に増えている」と指摘。壁に使われている断熱材を好んで老朽化した家屋などにすみ着き、生ゴミをあさったり庭先の果実を食べたりしている。

兵庫県尼崎市内で捕獲されたアライグマ

兵庫県尼崎市内で捕獲されたアライグマ

北海道大の池田透教授(保全生態学)によると、アライグマの主な移動ルートは「水」。夜行性のため人目に付きにくいが、河川のほか、下水道を伝って都市の地下を動き回っている可能性があるという。

環境省によると、アライグマの分布域は05~06年の調査では全国の国土の7%程度だったが、10~17年の調査では約20%にまで拡大。都道府県別で見ると、前回調査では生息が確認されなかったのは12県あったが、今回は沖縄と高知、秋田の3県だけになった。

同省の斎藤佑介専門調査官は「子供のころはかわいらしいが、成長すると気性が荒くなり飼育が難しい。逃げ出したり捨てられたりして野生化し、都市の環境にも適合していった」と分析する。

手先が器用で、簡易な飼育設備ではすぐに脱走してしまう。人間をおそれず、野生化した個体が散歩中の犬を襲ったケースもある。家屋にすみつき、ふん尿の臭いなどの苦情も自治体に寄せられている。

東京都は「アライグマを根絶する」と目標を掲げ、13年度から箱ワナを仕掛けるなどの「防除計画」を実施。18年7月時点で32区市町が防除に取り組んでいる。

都の担当者は「もはや自然減は期待できない。捕獲を進める一方で、生ゴミをきちんと管理し、屋根や床下の隙間をふさぐといった対策の啓発を続けたい」と話している。

ハクビシン、ヌートリア…繁殖する外来種

野生化し人の生活域に侵入、被害をもたらす外来哺乳類はアライグマに限らない。特に台湾などから持ち込まれたハクビシン、毛皮採取目的で戦前、戦後に輸入されたヌートリアは分布域を広げており、生態系への影響も深刻になっている。

ハクビシンはアライグマと同様、都市部で被害報告が多い。北海道大の池田透教授によると、アライグマと同じ雑食性でエサが豊富にある地域では一つの家屋で同時に発見されたこともあるという。

国や自治体は農作物への被害が大きいシカやイノシシに加え、外来種の捕獲を呼びかける。池田教授は「外来種の繁殖力は日本の在来生物とは比べものにならないほど強く、徹底した捕獲が必要だ」と話す。発生場所や繁殖率、頭数の動向を観察し、綿密に計画を立てたうえでワナの仕掛けを工夫しなければ増殖は防げないという。

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