2019年8月26日(月)

一枚上手の相撲論(浅香山博之)

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立ち合いの乱れ 「駆け引き」には限度がある

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2018/11/9 6:30
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相撲は勝敗の半分以上を立ち合いが占めるといわれているほど重要なものだ。相手より先に攻めて圧力をかけられれば、押せる、差せる、まわしを取れる、といくらでも攻めることができる。逆に立ち合いから後手に回った方は、上体を起こされ、まわしも引けず、踏ん張ることで精いっぱい。攻めることすらかなわず、一方的に負けることになる。

14日目、白鵬(奥)に敗れ肩を落とす豪栄道=共同

14日目、白鵬(奥)に敗れ肩を落とす豪栄道=共同

また、立ち合いが合わなければ、あっと思った瞬間には相手が来ていて、変化するつもりはなくても体が勝手に反応して横に逃げてしまうことだってある。自分も相手に合わせすぎてしまって、ぶざまな相撲を取った苦い経験がある。そうならないために、相手の動きをしっかり見ながら自分の立ち合いを心がけ、いかに相手より早く立って優位な体勢に持ち込むことに神経を研ぎ澄ます。そういう中での多少の駆け引きはあってもいいとは思うが、やはり限度というものがある。

常識の範囲内でやるべきもの

審判として土俵下から見ていると、あからさまに立ち合いの駆け引きをする力士がいる。全く立つ気が見えなかったり、あえて突っかけたり。初顔でどういう立ち合いをする力士かわからないから、見え見えの待ったをして相手の出方をチェックする者もいる。見ている方からすれば、すごくわかりやすい駆け引きをしている。これは関取衆だけではなくて、幕下くらいの若い衆にもいえること。もちろん度がすぎる力士には怒る。互いがそんな自分勝手なことをやっていたら、立ち合いなんて絶対に合わなくなる。駆け引きといっても、常識の範囲内でやるべきものだ。

小さな駆け引きの中で、互いに正々堂々とした立ち合いでぶつかる。それで負けたら「まだまだ自分は弱い」と自覚して、稽古場で徹底的に立ち合いを磨けばいい。若い衆は小ずるいことをして勝っても、番付が上がったら通用しないだろう。関取衆にしても下の者の見本になるような力士にならないといけない。そもそも待ったを繰り返して立ち合いが乱れれば、見ているお客さんはつまらないだろうし、相撲自体がしらけてしまう。待ったを百パーセントなくすことはまず不可能だろうが、やはりプロとして相手と呼吸を合わせていく意識が大切。全ての力士が肝に銘じなければならない心構えだろう。

(元大関魁皇)

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