2019年2月21日(木)

地酒、相次ぎ値上げ 輸送費・電気代上昇で

2018/10/27 9:43
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地方の酒蔵で日本酒の値上げが相次いでいる。主な出荷先である首都圏から遠い酒蔵が多く、輸送費の上昇が重荷になっている。電気料金の引き上げも重なり、知名度の高い「越乃寒梅」なども値上げに踏み切った。大手食品メーカーが今年に入って相次ぎ値上げに動いており、地酒にも広がってきた格好だ。

福光屋が全国販売する「加賀鳶」などの価格が上がっている(金沢市)

物流費などの高騰が酒蔵の重荷になっている(金沢市の福光屋)

辰泉酒造(福島県会津若松市)は9月、出荷量の9割を占める純米大吟醸などの特定名称酒の価格を5~8%引き上げた。値上げ直後で売り上げに影響は出ていないものの、新城壮一代表は「光熱費や輸送費など全体的にコストが増えている」とこぼす。

世界最大級のワイン品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)で2013年に日本酒部門の最優秀賞を受賞したこともある喜多屋(福岡県八女市)も10月出荷分から、ほぼ全商品を平均5%値上げ。「都美人」で知られる都美人酒造(兵庫県南あわじ市)は10月、5年ぶりに値上げをし、全商品の価格を引き上げた。

全国的に知名度の高い「越乃寒梅」を醸造する石本酒造(新潟市)は3月に「吟醸特撰(とくせん)」(1.8リットル)を、希望小売価格で税別3350円から4000円に上げるなど価格を改定した。

値上げを受け入れてもらう工夫として、価格改定に併せて贈答用の箱を無料で提供。ラベルも高級感を高めたデザインに切り替え、値上げに見合うブランド力をアピールしている。値上げから約半年過ぎたが、複数の酒販店によると売り上げに深刻な影響は出ていないという。

各地の酒蔵が値上げする大きな要因は輸送費の上昇だ。輸送距離が長く料金も高いため、企業努力では上昇分を吸収するのが難しくなっている。酒瓶を入れる段ボールやラベルなどの資材価格の高騰も影響している。

新潟市の新興酒造会社、越後伝衛門は9月、1996年の創業以来初めて値上げした。ブランド米を使いながら低価格を貫いてきたが「物流費や資材費の高騰で、最低限の見直しを余儀なくされた」(同社)。

「加賀鳶(とび)」を生産する福光屋(金沢市)は7月、8割以上の商品を対象に9~13%値上げした。値上げは2014年以来、4年ぶり。今春の北陸電力による電気料金の引き上げで値上げに踏み切った。同社の電気料金の支払額は3年間で約3割増えており「負担が大きい」(福光松太郎社長)。

国税庁の調査によると、日本酒の全体の出荷量は16酒造年度(16年7月~17年6月)は54万4000キロリットルと5年で14%減った。一方、特定名称酒の出荷量は18万4000キロリットルと5年で10%増えた。特定名称酒は風味や品質にこだわったものが多く、近年の日本酒人気を後押ししている。こうした特定名称酒などが値上げしても飲まれ続けられるか、各銘柄のブランド力が問われる。

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