2018年12月17日(月)

IoTマットに在庫管理お任せ 重量減れば自動で発注

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
スタートアップ
2018/12/5 17:59
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

日用品・食品の価格比較サイトを運営するスマートショッピング(東京・品川、林英俊社長)は物を置くだけで重さから在庫を自動で把握する機器を販売した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」に対応。リアルタイムで商品の残量を計り、自動発注もできる。棚卸しや発注にかかる作業を効率化したいオフィス、飲食店などの需要を取り込む。

林英俊社長

林英俊社長

「スマートマット」と呼ぶ、通信機能を組み込んだ重量計の量産体制を整えた。A3とA4サイズをそろえ、大きい物を載せるときは複数のマットを組み合わせる。事前に載せる物の1つあたりの重さを登録すれば、上に置いておくだけでクラウド上で在庫を常時監視できる。

例えば、オフィスでコピー用紙を載せた場合、1時間に1回クラウドにデータを送信。管理画面でグラフにして減り方を表示するほか、設定した量まで減った際は自動で追加分を発注する。

残量のデータが蓄積されると、急激な在庫減少や長い間在庫が動かない場合は異常を知らせる応用機能もつけた。置いたタイミングを記録し、賞味期限が過ぎた際も通知する。

使い道は様々だ。すでに飲食店などと組み、実証実験もすすめてきた。

三重県伊勢市で特産品の販売や飲食店を運営する「ゑびや」。約150年間続く老舗だが、在庫管理や商品開発で積極的にIT(情報技術)を活用している。2017年5月から飲食店と小売店の在庫管理にスマートマットを試験的に導入。商品を載せて、残りの量に応じてメールやFAXで追加発注できるようなシステムを構築した。

試験導入した「ゑびや」では、スマートマットを椎茸チップスの在庫管理などに活用する

試験導入した「ゑびや」では、スマートマットを椎茸チップスの在庫管理などに活用する

だしやせんべい、シイタケなど店に並ぶ商品は品目が多い。地元の乳製品屋の牛乳といったように仕入れ先も厳選しているため、1カ所1品目で人手と手間をかけて管理していたが、スマートマット導入で「人の勘や経験にたよっていた発注作業を自動化できた」(小田島春樹代表)。18年末までに200台以上を導入し、小売店の全在庫の管理を任せる計画だ。

ITの力を借りた在庫管理は通常、ICタグや監視カメラの映像分析などがある。ただ、ICタグは読み取り機の導入やタグ付けが必要。監視カメラもシステムの構築や電気の配線などハードルは高い。

スマートショッピングの林社長はマットについて「価格を極限まで安くするため、ハードウエアは機能を絞りこんだ」と話す。電池で1年もち、場所を選ばずに何でも置ける手軽さを打ち出す。小規模な小売店や飲食店でも使いやすいようにする。初期費用20万円に加え、1台で月額500~1000円の利用料を受け取るしくみだ。

オフィスや飲食店のほか、工場の資材、病院の衛生用品など幅広い業種での活用を見込む。「中が見えにくい液体の補填やゴミの回収など、当初予想していなかった使い方も出てきた」(林社長)。

大手とも積極的に組む。富士ゼロックスが印刷業者向けに提供する印刷物の自動補填サービスでスマートマットを提供。19年1月からはKDDIを通じて同社の回線を利用したIoTサービスとして売り出す。販売は4年で合計30万台を目指す。

林社長はコンサルティング会社を経て、アマゾン・ジャパンで定期購入サービスの立ち上げを主導した。その際、割引を目的としない利用者が予想以上に少なかったことが気になったという。

「洗剤をどのくらいの頻度で買うか普通は把握していない」。細かく時期設定できないこともあり、定期購入に限界があると感じた。

スマートショッピングを創業したのは14年。すでにスマートフォン(スマホ)による通販が普及していたが、「買い物はもっと便利になる」との想いで独立した。大学時代からの友人で共同創業者の志賀隆之氏らと、目黒のマンションの一室でシステムを組んだ。

現在の主力事業は通販の価格比較サイトだが、思いは売り手、買い手の両サイドに立った「便利」の追求だ。「ホテルのように、家庭でも帰ったらトイレットペーパーや水が補充されているようにしたい」

スマートマットも、もともとは家庭での使用を想定して開発していた。ペットボトルの水やビールなど日常で繰り返し購入する商品を対象に、残りが少なくなると通販で自動購入する。簡単に注文できるアマゾンの「ダッシュボタン」と似ているが、ボタンを押さなくてもいいという利点がある。

ただ、テストマーケティングで「料金を支払ってでも使いたいのは企業や店舗の方だった」(林社長)と分かったため法人向けに戦略を転換した。家庭用をあきらめたわけではないが、「店舗から広告収入をもらってマットを無料にするなど、別のビジネスモデルが必要」と語る。

今後は小型化や収納ケース一体型、通信の省電力化など様々な新商品を開発する計画だ。法人向け販売はまず第一歩。生活に溶け込むハードウエアで、一般家庭への進出を目指す。  (薬文江)

[日経産業新聞 2018年10月29日付]

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