印IT、通貨安で恩恵 18年7~9月期、3社が2ケタ増益
【ムンバイ=早川麗】インドIT(情報技術)サービス大手4社の2018年7~9月期の連結決算が26日までに出そろった。通貨安が急速に進んだ結果、現地通貨ベースで利益を押し上げ、4社中3社の純利益が前年同期比で2ケタ増となった。ただ、最大手タタ・コンサルタンシー・サービシズ(TCS)を除きドルベースでの伸び率は限定的で、かつての高成長には遠いままだ。
インド中央銀行が公表する為替レートは9月末で1ドル=72ルピー台半ばだった。17年9月末の65ルピー台に比べ急速に通貨安が進んだ。この結果、TCSの純利益は22.6%増の790億ルピー(約1210億円)。2位インフォシスも10.3%増の411億ルピー、3位HCLテクノロジーズも16.1%増の254億ルピーとなった。
ウィプロのITサービスの部門利益はルピーベースで非開示だが、ドルベースでは18年4~6月期にデータセンター事業を売却した影響で減益だった。
目立ったのは北米を中心とする米州の好調だ。TCSは売上高全体の半分超を占める北米が8.1%増収、HCLは米州が15.1%の増収だった。インフォシスやウィプロも他地域に比べ堅調だった。米国の景気拡大が続く中、主要顧客の金融などを中心にIT投資が活発だったようだ。
ただドルベースで2ケタ増益を達成したのはTCSのみ。各社は人工知能(AI)やビッグデータ、クラウドなど先端分野の強化やM&A(合併・買収)に力を入れているが、以前のような高成長を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。
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