日中新時代へ3原則 首脳会談「競争から協調」
習主席、来年訪日で調整

2018/10/26 17:53 (2018/10/26 19:43更新)
保存
共有
印刷
その他

【北京=重田俊介】中国訪問中の安倍晋三首相は26日、北京の釣魚台迎賓館で習近平(シー・ジンピン)国家主席と約1時間20分会談した。両首脳は新たな時代の日中関係について「競争から協調へ」などの3原則を確認した。習氏は2019年の訪日に意欲を表明。日中首脳の相互往来の定着を目指す。

中国国家主席の公式来日が実現すれば、08年の胡錦濤(フー・ジンタオ)氏以来となる。

習氏は冒頭、日中関係について「新しい歴史的な方向にしなければならない」と表明した。安倍首相は(1)競争から協調へ(2)お互いパートナーとして脅威にならない(3)自由で公正な貿易体制の発展――の3原則を提示。「この原則のもとに地域や世界の平和と安定に共に力をあわせたい」と意欲を示した。

首脳の往来を巡っては、安倍首相が19年の習主席の訪日を歓迎すると提案。日本側の説明によると習氏は「真剣に検討する」と応じたという。19年6月末に大阪で開く20カ国・地域(G20)首脳会議の前後が有力だ。両政府は今後、具体的な訪日時期を詰める。

安倍首相は「少し気が早い」と前置きしながら、20年の東京五輪の開会式にも習氏を招く考えも伝えた。

日中関係は沖縄県の尖閣諸島の国有化などをきっかけに、一時「国交正常化以来、最悪」といわれるほど悪化した。18年5月の李克強(リー・クォーチャン)首相の公式訪日まで7年間、首脳らの往来は途絶えていた。

中国側の発表によると習氏は日本が協力姿勢を示す第三国へのインフラ投資を評価した。「(中国の広域経済圏構想の)一帯一路を共に建設することは、中日協力の新たなプラットフォームとなる」と語ったという。安倍首相は「開放性や透明性という国際社会共通の考え方をとりいれることを期待する」と求めた。

首相は約40年続いた対中政府開発援助(ODA)を終了する考えを伝達した。習氏はODAの貢献を高く評価。両首脳は、第三国でのインフラ投資推進で一致した。

一方、習氏は米中の貿易戦争について「共に多国間主義を守り、自由貿易を堅持し、開放的な世界経済を推進しなくてはならない」と主張した。安倍首相は「対抗措置の応酬は誰の利益にもならない。米中両国が対話を通じて摩擦を解消すべきだ」と伝えた。

両首脳は北朝鮮情勢を巡っても意見交換した。非核化の実現に向けた緊密な連携を確認。国連安全保障理事会の制裁決議の履行を申し合わせた。日本人拉致被害者の早期帰国に関し、習氏は日本の立場を支持した。

沖縄県尖閣諸島の周辺海域を巡っては、首相が状況改善を求めた。両首脳は意思疎通を強化し、不測の事態を回避することで一致した。東シナ海のガス田開発協議は交渉の早期再開を目指し、意思疎通を強化することで合意した。尖閣国有化問題が響き日中間の協議が中断していた。

中国による日本産食品の輸入にかかる規制を巡っては、習氏は科学的な評価の上に制限措置の緩和を検討する方針を表明した。中国は東京電力福島第1原子力発電所事故の後、輸入を制限していた。

首脳会談に先立ち、安倍首相は人民大会堂で李首相と会談した。先端技術や知的財産保護を協議する「日中イノベーション協力対話」の新設で合意。通貨交換(スワップ)協定を3.4兆円を上限に再開することを確認した。自衛隊と中国軍の偶発的衝突を避けるための「海空連絡メカニズム」は防衛当局同士の会合の年内開催で一致した。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]