西沢潤一さん死去 半導体の世界的権威
半導体や光ファイバーなど電子工学の世界的な権威で、東北大学学長などを務めた西沢潤一(にしざわ・じゅんいち)さんが10月21日、死去した。92歳だった。連絡先は東北大学広報室。告別式は近親者で行った。

戦時中に東北大学で電気工学を学び、米国でトランジスタが開発された情報を聞きつけて半導体研究を始めた。1950年に「pinダイオード」という素子を開発したのを皮切りに次々と成果を出し「ミスター半導体」と呼ばれるようになった。
50~60年代には半導体レーザーや光ファイバーによる光通信の原理を発明し、現代の情報通信社会を築く技術開発に大きく貢献した。東北大の伝統である「実学重視」の学風を受け継ぎ、産業界にも多くの人材を輩出した。シリコンの完全結晶開発など国のプロジェクトのリーダーも務めた。
優れた電子工学者を表彰する米電気電子技術者協会の「エジソンメダル」を2000年に日本人として初めて受賞した。同協会は「西沢潤一メダル」を創設し、04年から研究者を表彰している。
90~96年に東北大学長を務め、岩手県立大学長と首都大学東京学長も歴任した。89年に文化勲章、02年に勲一等瑞宝章を受章した。85年4月、日本経済新聞に「私の履歴書」を執筆した。