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球場が呼んでいる(田尾安志)

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変えるのは選手でなく自分 辻監督にみる将の心得

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2018/10/28 6:30
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2017年の西武の春季キャンプ。就任したばかりの辻発彦監督に、私は「3年目で勝負できればいいな」と話した。16年までの3年間は5位、4位、4位。投手陣を立て直し、優勝争いができるまでには3年はかかる、との見立てだった。これに辻監督は「僕、2年契約しかしていないんです」。「2年はきついな」と同情交じりに励ましたのだが、蓋を開けてみれば就任1年目にチームを2位に押し上げ、今年は10年ぶりのリーグ優勝。きっちり2年で結果を残した手腕は見事だった。

強攻策で相手のみ込む迫力

現役時代の辻監督は、相手からすれば実にいやらしい選手だった。バットを短く持って狭い一、二塁間をしぶとく破り、盗塁を仕掛ける。送りバントにセーフティーバント、ヒットエンドランと相手をかき回す作戦を着実に実行する。1番、2番、9番とどの打順を任されても据わりがよく、玄人受けするバイプレーヤーだった。

そんな彼のことだから、監督になっても「スモールベースボール」を掲げるのかと思ったら、これが違った。秋山翔吾、浅村栄斗、中村剛也、山川穂高、森友哉ら強打者が並ぶ打線を前面に押し立て、とにかく打ち勝つ野球を志向した。監督就任と同じタイミングで入団し、2番で起用した源田壮亮にもあまり送りバントをさせず、強攻策で相手をのみ込もうという迫力を感じさせた。

2年契約の2年目にきっちり結果を残した辻監督の手腕は見事だった=共同

2年契約の2年目にきっちり結果を残した辻監督の手腕は見事だった=共同

もっとも、ただ「自由に打て」と放任しているだけではない。あるとき、カウント3-0や3-1の場面から打って凡退した源田を辻監督が呼び、「3ボールから打ちにいっていいバッターはいっぱいいるけれど、おまえは違うだろ。おまえはつなぎだろ」と話したという。長く2番打者を務めた辻監督だけあって、1球待つことによる自軍のメリットや相手へのダメージというものを源田に理解させたかったのだろう。

少し前まで、西武のウイークポイントの一つといえたのが遊撃手だった。鬼崎裕司や金子侑司、永江恭平らが定位置獲得を目指したものの、誰もポジションをつかめないでいた。そこに割って入ってきたのが源田。1年目のキャンプで辻監督は「田尾さん、あれ、すごいでしょ。バットのヘッドが寝ないんですよ。全部立って出てくるんですよ」と感心していた。「ちっちゃいけれど、バッティングは意外といいと思いますよ」。源田は遊撃で開幕スタメンの座をものにすると、そこから2年間、全試合フルイニング出場。辻監督が性根を据えて起用し続ける姿勢が、不動の遊撃レギュラーをつくり上げた。

源田に自身の現役時代を重ねる?

辻監督は、源田に自身の現役時代を重ね合わせてきたのではないだろうか。日本通運では中軸を打っていた辻監督は、1984年の西武入りからほどなくしてスラッガーの衣を脱いだ。当時は現役晩年ではあったが田淵幸一さんや大田卓司さん、スティーブさんら長打を打てる打者が多くいた。そんな先輩たちとの力の差を感じ、長距離打者としては生き残れないと考えて行き着いたのが、バットを短く持ってこつこつ単打を放つプレースタイルだった。浅村、山川、中村ら長距離砲が居並ぶ打線にあっての源田は、まさに自身の合わせ鏡のような存在。源田にもプロで生きる道を見つけてほしいとの思いが、2番の心得を授ける背景にあったと考える。

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