VW、ウェイモに出資検討 独誌報道 韓国電池大手と電池工場も
【フランクフルト=深尾幸生】独経済誌マネジャーマガジンは25日、独フォルクスワーゲン(VW)が米グーグル系の自動運転開発会社ウェイモに10%の出資を検討していると報じた。電気自動車(EV)用の電池では韓国のSKイノベーションと共同で欧州に工場を建設することを検討しているとした。実現性は不透明だが、次世代の自動車技術に対するVWの強い危機感がうかがえる。
VWは日本経済新聞の取材に対し「臆測にはコメントしない」と答えた。
マネジャーマガジンによると、VWのヘルベルト・ディース社長がウェイモとの提携を望んでいるという。ただ、10%の出資は120億ユーロ(1兆5千億円)に相当し、社内での合意は得られていないとした。
EVの中核部品となる電池セルでは、韓国3位のSKイノベーションと共同で欧州に工場を建設するため数十億ユーロの投資を検討しているという。VWは2025年に300万台のEVを販売する計画を掲げる。電池は韓国のLG化学などから調達する方針だが、外部依存し続けるのはリスクが高いという見方もある。
それぞれの検討が事実だとすれば莫大な投資が必要となる。だが、最近のディース社長の発言はこうした投資の必要性を裏付ける。
ディース社長は16日、業界イベントで「かつて強かった英国やイタリアの現状をみてほしい。このままでは10年後にドイツの自動車業界が強い地位を保てる可能性は50%だ」と述べ、危機感をあらわにした。
南ドイツ新聞のインタビューでは「米国や中国が我々の地位を脅かしている」と指摘した。念頭にあるのはグーグルや米テスラ、中国の百度(バイドゥ)や騰訊控股(テンセント)などの新興勢力だ。
ディース氏がトップを兼ねるVWの中核のVW乗用車ブランドは25日、25年までに販売台数の半分をSUVにすると発表した。現在は2割にとどまる。世界的に売れ筋になっているSUVを相次いで投入することで、次世代技術開発の原資を確保する狙いだ。VWが大きな決断をする日も遠くないかもしれない。