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日田彦山線復旧、協議仕切り直し 運行継続「知恵出し合って」

半年ぶりトップ会談 鉄道軌道整備法活用も

九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線の復旧を巡って、沿線自治体の各首長とJR九州社長によるトップ会談が25日、大分県別府市内であった。復旧協議が混迷した末の半年ぶりの会談で、国の補助が得られる鉄道軌道整備法の活用検討や、継続的な運行に関して「知恵を出し合って」連携することを確認した。ただ、有効な対策や具体的な復旧時期は示せないまま。隔たりが残る仕切り直しとなった。

「それぞれの立場による考えもあるが、一定のまとめを得た」。25日の会談終了後、JR九州の青柳俊彦社長は記者団にそう話した。大分県の広瀬勝貞知事も「いい話ができた。ただ中身にはだいぶ隔たりがある」とし、会談後もJRと自治体側が互いに一定の溝が残ることを率直に認める格好になった。

会議では、6月に改正された「鉄道軌道整備法」の活用を検討することで合意。適用されれば国や沿線自治体の補助が得られ、JRの復旧費用が半減できる。ただ同法の活用には、復旧後に10年以上の継続的な運行計画をつくる必要がある。これについて青柳社長は「自治体の支援内容について知恵を出し合うことが決まった」と述べた。

福岡県や大分県、大分県日田市などの沿線5自治体とJR九州は4月以降、25日の会談を含め計4回、協議を重ねてきた。だが過去の協議で火種になってきたのが、継続的な運行方法の確保だ。

鉄道の運行を早期に再開し、地域住民の足を確保したい自治体側は「復旧工事と、復旧後の運営については切り離して議論すべきだ」と主張。一方のJRは、今も不通が続く添田(福岡県添田町)~夜明(日田市)間が「被災前に少なくとも年間2億6600万円の赤字だった」とし、一定の収益性が確保できる見通しがなければ、工事に着手できないとの立場を堅持してきた。

青柳社長は過去の会見で「(不通区間の利用者が)倍になっても状況は変わらない」と話している。同区間の輸送密度(1キロメートルあたりの1日の平均利用者数)は、被災前の16年度で131人。JR九州が採算性の目安とする2000~4000人にはほど遠い。

抜本的な収益の改善策として、JRはこれまで自治体が線路や駅舎の維持費用などを負担する「上下分離」に言及してきた。だが、復旧後の財政負担には自治体側がこれまで強い拒否感を示してきたことから、25日の会談では「単語も出なかった」(事務局)。バスなど、鉄道以外の輸送手段についても言及はなかったという。

2019年4月までに、一定の結論を出すという従来の目標は維持した。復旧工事の費用は、当初JRが試算した70億円から既に56億円に圧縮しているが、一段の削減の検討でも合意した。だが利用者数や費用削減の目標、運行再開時期などは示されなかった。

青柳社長は日田彦山線を巡る自治体との協議を「今後の公共交通のあり方について、大きな事例になる」と話す。JRには今後、他の線区でも同様の事例が起きかねない危機感があり、今回の協議を人口減下で持続可能な鉄道運営のモデルケースにしたい思惑がある。

「もっともっと知恵を出そうというのが今日の結論」と、福岡県の小川洋知事は話した。高速道路の整備が進むなど、鉄道を取り巻く環境はレールが敷かれた時から大きく変わった。単に「元に戻す」だけでは、公共交通網を維持していくことが難しい時代を迎えている。仕切り直した復旧会議は地域に息づく新しい鉄道の姿を示せるだろうか。(中川雅之、朝比奈宏)

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