タイ航空パイロットが騒動 満席ファーストに「座る権利」
【バンコク=小谷洋司】業績低迷が続くタイ国際航空が身内の失態に揺れている。欧州からタイに向かう便で非番の自社パイロットがファーストクラスの乗客に席を譲らせていたことが発覚。国民やメディアから集中砲火を浴びている。
騒ぎが起きたのは11日のスイス・チューリヒ発バンコク行き。タイメディアによると、非番のパイロット2人が満席のファーストクラスに「座る権利がある」と固執したため出発が2時間遅れ、乗客がビジネスクラスに移って決着したという。
これが明るみに出るとパイロットへの批判が噴出。タイ航空のブランドは大きく傷付いた。9月に就任したスメート社長は席を譲った乗客に謝罪し、経緯を検証する第三者委員会の設置を表明。同じく新任のエクニティ会長も「『お客様は王様』という社内文化を構築したい」と述べた。
安全運行のため十分な休息が必要だとパイロット側を擁護する声も一部にはある。だがスメート社長は2人が帰国後すぐに仕事が入っていたわけではないことを理由に「今回の事例には当てはまらない」と退けた。