ブラジル大統領選、極右候補の優位揺るがず
28日に決選投票 汚職・治安対策を訴え

2018/10/25 15:48
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【サンパウロ=外山尚之】中南米の大国ブラジルの大統領選で28日、決選投票が実施される。対決する2候補のうち極右、社会自由党のジャイル・ボルソナロ下院議員(63)は世論調査で約6割の支持を得て、左派で労働党のフェルナンド・アダジ元サンパウロ市長(55)に差をつける。ボルソナロ氏は汚職や治安悪化の責任は過去の左派政権にあると主張。アダジ氏は格差解消を訴える。

ファベーラの治安悪化は深刻な状況だ(リオデジャネイロ)

両候補の主張の焦点は異なるが、正式な討論会が開かれないため、議論は深まらない。左右それぞれの候補を支持する有権者には地域的な偏在もみられる。国民の分断も深まっているようだ。

「この先は麻薬組織の縄張りだ」。第2の都市リオデジャネイロで丘陵部に差しかかると、同行のガイドが慎重になった。斜面を粗末な建物が埋め尽くす。南米最大のファベーラ(貧民街)「ホシーニャ」はブラジルの治安の悪さを象徴する。

リオではファベーラを拠点とする犯罪組織がほかの組織や警察と頻繁に衝突する。市議の暗殺事件もあり、暴力はファベーラの外にも広がる。3月の大手調査会社ダタフォリャの調べでは、リオ市民の2割が過去1年で強盗にあい、3割が発砲事件に遭遇した経験があると回答した。リオを州都とするリオデジャネイロ州では人口10万人あたりの殺人件数が年間40件ほど。これは日本全体の約140倍にあたる。

リオが地盤のボルソナロ氏は秩序と治安の回復を優先課題にあげる。「子供を誘拐して殺しても6年で刑務所から出られる、それは決して許されない」。犯罪者への厳罰適用を訴え、少年法の上限年齢を2年低い16歳に改める公約を掲げる。

一方、左派陣営は経済格差の解消を公約に、巻き返しを目指す。7日の第1回投票の得票率でボルソナロ氏に約17ポイント差をつけられたアダジ氏だが、北東部の大半の州で得票数は上回った。主な産業は南部に集積。北東部は農地も限られ、低所得世帯が多い。

アダジ氏を支える労働党の実力者、ルラ元大統領(72)が生まれた北東部ペルナンブコ州。失業率は17%前後で、全国平均を4ポイントほど上回る。州都レシフェから車を1時間も走らせると、ルラ氏が建設を主導した巨大な製油所「アブレウ・デ・リマ」が姿を現す。建設費は当初予算の8倍以上に膨らんだ。地元メディアは左派政権の放漫財政と汚職の象徴と報じる。

だが、地元の評価は異なる。「ルラ氏が雇用をもたらした」と、製油所の労働組合員の一人は語る。南部の富を北東部にも分けるには、多少の無理はやむを得ないと考える人々は多い。

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