2019年5月22日(水)

勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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成功は小さな成長の積み重ねの先にある

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2018/10/26 6:30
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日本サッカーの育成年代の選手たちの頑張りがアジア、世界の舞台で続いている。女子は8月のU-20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)フランス大会で初優勝し、U-17、U-20、そして年齢制限のないフル代表のW杯と、3つの世界大会をすべて制した世界で最初の国になった。

男子も10月のU-16アジア選手権(マレーシア)で12年ぶり3度目の優勝を果たし、2019年のU-17W杯ペルー大会の出場権を手にした。U-19の選手たちも現在、インドネシアで行われているアジア選手権で進撃中だ。こちらも何とかベスト4に入って、来年ポーランドで開催されるU-20W杯の出場を勝ち取ってもらいたい。

「プライド」という名の財産

なでしこジャパンは、澤穂希さんらが中心になって11年W杯ドイツ大会で世界の頂点に立った。それからさらにU-17、U-20のW杯でも優勝したということは、この世代が成熟した暁には世界制覇のチャンスが再び巡ってくることを意味する。そうなったら、フル代表のW杯で一度でも優勝したことがあるという歴史は、彼女たちに「プライド」という名の力をもたらすだろう。これは非常に大きな有形無形の財産になると思う。

U-20女子W杯で初優勝し、喜ぶ日本イレブン=AP

U-20女子W杯で初優勝し、喜ぶ日本イレブン=AP

男女そろってのアンダーエージ(育成年代)の活躍をうれしく思うのは、世界の舞台に出る、そこで活躍する、優勝する、さらに上のカテゴリーを目指す、といった大きな目標が常に視野に入るようになるからだ。

アジアを制したばかりのU-16男子代表にしても、来年のW杯まで1年近くの準備期間がある。アジア制覇に貢献した選手がそのままスライドしてW杯に出られるわけではない。ゆえに、年齢的に出場資格のある選手たちはこの1年の間、森山佳郎監督のお眼鏡にかなうべく必死に努力するだろう。

それが来年のW杯の成功を約束するわけではない。が、そういう大きな目標に向けての競争が16歳の選手たちの間で活発に巻き起こることが大切なのだ。競争は常にグループを刺激する。それがチームと選手を成長させるのは間違いのないことである。そういう小さな成長の積み重ねの果てに成功はやってくるものである。

サッカーの場合、ナショナルチームの意識を持たせて本格的に活動するのはアジア選手権の1次予選が始まる15歳になってからだ。16歳でアジア選手権の本大会があり、それを勝ち抜くと17歳で最初のW杯を経験できる。そこで「世界」を体感すると、次のターゲットはU-20W杯になる。18歳でアジア選手権の予選が始まり、19歳でアジア選手権を勝ち抜くと、20歳でU-20W杯に挑戦できる。

つまりサッカーのアンダーエージには「15、16、17歳」と「18、19、20歳」という2つの3年サイクルの山があり、この山登りのプロセスを利用してタレントの発掘と開発に努め、原則U-23の五輪を経て、最終的には年齢無制限のW杯というフル代表の強化につなげているわけである。

このアンダーエージの強化にJクラブや民間クラブのジュニアユース、ユースチーム、中学や高校の部活動が多大な貢献をしてくれているのはいうまでもない。その地道な活動の成果ともいえるエリートをナショナルチームに集め、国際経験を積ませて別次元の強化を図るのが日本サッカー協会の使命といえる。そのために投資される費用は結構な額になるが、タレントを育てる以外にサッカー界の未来はなく、惜しむわけにはいかない。

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