米、サウジ制裁小出し 同盟へ配慮にじむ
記者殺害 実行犯ら21人ビザ停止

2018/10/24 19:08 (2018/10/24 22:26更新)
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【ワシントン=中村亮】トランプ米政権は23日、サウジアラビアの著名記者殺害事件に関与した実行犯らへの制裁を発表した。事件を巡るサウジへの米制裁は初めて。追加措置の発動を視野に入れつつも対応は小出しで、トランプ大統領が最高実力者ムハンマド皇太子をかばう姿勢も鮮明。サウジとの同盟関係への打撃を最小限にとどめたいとの配慮がにじんでいる。

23日、ポンペオ米国務長官はサウジ人記者の死亡事件を「恐ろしい行為以外の何物でもない」と非難した(ワシントン)=ロイター

23日に発表した制裁は査証(ビザ)取り消しによる米国への入国禁止で、ロイター通信によると対象は21人。ポンペオ国務長官は記者会見でサウジの王室や情報機関、外務省の関係者をあげた。

ポンペオ氏は今後2~3日以内に事件の情報収集をさらに進めると説明した上で「今回の措置が最後の罰則とはならないだろう」と表明した。人権侵害に関する制裁法の適用を検討中だ。トランプ大統領も23日、ホワイトハウスで記者団に今後の対応については「議会に委ねる」と述べた。

ただ、初期段階の制裁措置としては「穏便だ」(米紙ワシントン・ポスト)との評価が目立つ。トランプ政権は3月、英南部でロシア人元情報機関員の暗殺未遂事件にロシア政府が関与したとの疑いが浮上するとロシアの外交官60人の国外追放を決定。シアトルのロシア総領事館の閉鎖にも踏み切ったのに比べると、現時点でのサウジへの措置は軽さが否めない。

トランプ氏は23日、事件に関するサウジ政府の説明の変遷を「史上最悪の隠蔽だ」と強く非難した半面、ムハンマド皇太子が電話で「下のレベルがやったことだ、と強く言っていた」と明かし、擁護する姿勢を示した。

トランプ氏は米議会が求めるサウジへの武器輸出停止は受け入れられないとの姿勢も崩していない。サウジは対イラン包囲網の要であり、多くの雇用を生み出す「最大の対米投資国かもしれない」とも評価している。殺害事件を巡るサウジへの国際社会の非難が強まる中でも、経済・安全保障の両面で親密な関係への亀裂を避ける道を探っている。

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