大阪の企業は記念日好き 語呂や見立て、光る遊び心(もっと関西)
とことんサーチ

2018/10/25 11:30
保存
共有
印刷
その他

11月11日の「ポッキー&プリッツの日」、1月23日の「アート引越センターの日」――。大阪で経済取材をしているうちに、独自に記念日を設ける企業が多い気がした。日本記念日協会(長野県佐久市)に聞いたところ、大阪の企業の記念日登録件数は約150件。企業や業界団体の本部が集まる東京都には劣るが、神奈川県や愛知県の約2倍の高水準ということがわかった。なぜ大阪の企業は記念日が好きなのだろうか。

まずは11月11日のポッキー&プリッツの日が迫っている江崎グリコに聞いてみた。同社がポッキー&プリッツの日を制定したのは平成11年(1999年)11月11日。ポッキー、プリッツの棒状の形を数字の1にそれぞれ見立てて、1が並ぶ日を記念日として、記念日協会に登録した。

グリコはこの日以外にも、10月31日を「クレアおばさんのシチューの日」、毎月19日を「熟カレーの日」、8月1日を「カフェオーレの日」としている。記念日制定の理由について同社マーケティング部の柳谷麻郁氏は「多くの人が接点を持つ記念日は話題性がある」と説明する。

記念日制定ではミズノも負けてはいない。11月11日はミズノにとっては数字のイレブンから「サッカーの日」を意味する。このほか、1月12日は「スキー記念日」、8月9日は「野球の日」など6つの記念日を登録。いずれも記念日にすることで、スポーツ振興につなげる狙いという。

企業が記念日を設定する理由について、博報堂行動デザイン研究所の国田圭作所長は「1年1度の周期性がある記念日は消費者の話題にのりやすく、広い意味でのマーケティング効果が大きい」と説明する。大阪の企業が記念日を設けるケースが多い背景に関しては「数字の語呂合わせでちょっとした遊びのセンスがいる。関西企業ではそうした遊びを許容する文化があるからではないか」と話す。

例えば小林製薬。2017年に、8月18日を同社製品の「糸ようじ」の記念日として設けた。歯間ケアの啓蒙もかねて「歯(8)と歯(8)に糸(1)をはさむ」と連想した。「堂島ロール」を扱うモンシェール(大阪市北区)は6月16日を「堂島ロールの日」として設定した。もともと6月は6の形状からロールケーキが連想されやすく、10(どうじま)がロール(6)するにひっかけた。

製造業が集まる大阪らしく、科学技術に絡めた記念日も目立つ。シャープは11月11日を独自技術「プラズマクラスターの日」として登録。空気を清浄するプラス(+)とマイナス(-)のイオンを漢数字の十一に見立てた。一方、磁気治療器「ピップエレキバン」のピップ(大阪市中央区)は、同じ十一でも磁石のN極(プラス)とS極(マイナス)に見立て、同日を「磁気の日」としている。

同日は最近では中国の通販大手、アリババ集団がセールを実施する「独身の日」として有名だが、大阪企業もあやかろうとする意欲は決して負けてはいないことがわかる。

企業の記念日の取材をしているうちに、「この味が いいねと君が言ったから 七月六日はサラダ記念日」と、俵万智さんの歌集「サラダ記念日」の短歌をつい思い出してしまった。そういえば、俵さんは大阪府門真市出身だ。俵さんにとっての記念日を直接本人に聞いたところ、「サラダ記念日が出版された5月8日。今年で31年目で短歌の文字数と同じです」。

言葉のリズムを楽しむ関西人の気質は、企業記念日の多さにしっかり反映されているのかもしれない。

(大阪経済部 川崎なつ美)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]