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NEC・サムスン、5G基地局で巻き返し 提携で市場立ち上げ急ぐ

従来に比べ最大100倍の速度で通信できる次世代無線通信規格「5G」用基地局で24日、NECと韓国サムスン電子が提携すると発表した。5兆円近い基地局市場では新規格に移行する際、シェアなど市場構造が激変する。現在は両社を足しても5%弱のシェアにとどまるが、5Gで先行することで巻き返す。高速・大容量通信で生まれる新製品・サービスの取り込みも狙う。

両社は提携により、基地局に必要なアンテナや信号処理装置などの機器開発・製造を分担。費用負担を軽減すると同時に開発スピードを速める。NECが持つ国内の営業網とサムスンの資金力を合わせることで、来年にも段階的にサービスが始まる日本市場で優位性を確保する。一部で商用化されている米国にも広げたい意向だ。

英IHSマークイットの調査では、現在の基地局市場は中国・華為技術(ファーウェイ)とスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキア、中国の中興通訊(ZTE)で9割を占める。NECとサムスンは合計で5%弱と規模では劣るが、5Gへの転換で商機をうかがう。

過去にも通信技術の世代交代で勢力図が塗り替わった。2010年代に3Gから4Gへ移行した際、ファーウェイはシェアを2倍以上伸ばし、首位に立った。中国で培ったコスト競争力を武器にエリクソンの牙城の欧米市場に踏み込んだ。

今回は現行方式で世界トップのファーウェイに逆風が吹く。

4月に米連邦通信委員会(FCC)がファーウェイとZTEを念頭に、米国の通信会社が安全保障上の懸念のある企業から機器を調達することを禁じる規制導入を決定。オーストラリア政府も5GでファーウェイとZTEの採用を禁止する方針を打ち出した。

一方、サムスンで5Gビジネスを率いる金暎基(キム・ヨンギ)社長は21年までに5Gの基地局で「世界シェア20%を獲得したい」と意気込む。

ファーウェイが米国市場などで締め出される懸念が強まるなか、日本の通信関係者の間ではファーウェイが日本開拓に一段と注力するとの見方がある。現行方式ではソフトバンク向けで豊富な実績があり、日本から締め出されるリスクは少ない。日本市場でのシェアは現在、13%程度にとどまるが、重点地域として営業攻勢をかければ拡大余地はあるとみられる。

今回の世代交代は基地局機器以外にもビジネスチャンスが広がっている。IHSマークイットによると5Gの経済効果は世界で35年までに12兆3千億ドル(1380兆円)に達する。NECとサムスンは、提携を通じて情報が膨大にあふれ出すデータ経済時代で成長を加速したい思惑がある。

NECは5G技術を活用した製造業の効率化や建機の遠隔操作といったシステムの需要をいち早く押さえたい考え。基地局ビジネスを足場に各地の通信会社や現地企業からニーズを掘り出し、世界標準のシステムを確立できれば新たな収益源になる。同社の18年3月期の連結業績をみると、海外比率は3割以下にとどまる。主力のシステム開発の国内市場は将来的に伸び悩みが懸念され、海外事業の強化が課題だ。

サムスンにとっては、5G基地局向けにデータを超高速で処理するシステムLSI(大規模集積回路)の採用を進めることは、主力の半導体事業を成長させるのに欠かせない。半導体メモリーがけん引するサムスン電子の業績は足元で好調だ。5日に発表した2018年7~9月期連結決算の速報値は、営業利益が17兆5000億ウォンと前年同期比20%増えて過去最高を更新した。ただ、スマホ事業に陰りがみえるなど、次世代事業の育成が課題になっている。

「基地局だけでなく、周辺領域でも協創の時代になる」。NECの河村厚男執行役員常務は強調する。今後、5G関連の開発を巡りメーカーの陣営分けが進む可能性は高い。戦いは基地局だけにとどまらない。(比奈田悠佑、山田健一、堀越功)

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