シンガポール、周辺国のインフラ開発支援 「一帯一路」契約のハブ狙う

2018/10/24 18:00
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【シンガポール=中野貴司】シンガポール政府はアジアの新興国によるインフラ計画の立案や資金調達の支援に乗り出す。民間銀行や法律の専門家を紹介して計画の妥当性を事前に検証し、完成後に周辺国による融資返済が行き詰まらないようにする。中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」関連の契約を請け負うハブとしての地位を確立したい考えだ。

シンガポール企業庁と金融通貨庁が23日、支援を担う中核組織「インフラストラクチャー・アジア」の設立を発表した。ヘン・スイキャット財務相はインドネシアやタイ、ブルネイの担当閣僚らを前に「ほとんどの国が単独では巨大なインフラ需要を満たす能力を持たない。我々がアジアのインフラの発達に貢献したい」と強調した。

シンガポールが支援対象とするのはアジア各国の道路や港湾、空港、鉄道、発電所など大型のインフラ開発案件だ。立案段階からコストや工期の妥当性を検証し、着工後に費用が大幅に膨らむ事態を防ぐ。

国内外の大手銀行や保険会社、投資ファンドを紹介し、円滑に資金を調達できるようにする。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とも連携する。

大型インフラの開発は多くの企業や政府系組織が関わるため、複雑な契約内容が問題となり、訴訟に発展することも少なくない。シンガポールは法律やインフラ計画の専門家も派遣し、着工前に法的な問題点の解消を目指す。

シンガポールが周辺国の支援を打ち出すのは、巨額のインフラ需要から生まれる利益を取り込むためだ。シンガポールには国内外の金融機関や法律事務所が集まり、東南アジアの資金調達や仲裁の中心地となっている。一帯一路に絡むインフラ開発の結節点としての評価が高まれば、自国の金融機関や企業が開発に関与する機会も増えると期待する。

ADBによると、アジアの途上国では年間1兆3400億ドル(約150兆円)のインフラ需要があるが、実際の投資額は約8800億ドル程度と3分の2程度にとどまる。シンガポールの支援で資金調達や工期の管理手法が改善すれば、投資を促進する効果が生まれ、需要との差が縮まる可能性もあるとみている。

経済成長が続くアジアでは、中国が進める広域経済圏構想「一帯一路」関連の案件を中心に、今後も大型のインフラ整備が続く見通しだ。だがスリランカのように債務を返済できず、中国企業に港湾運営権の譲渡を迫られた例も出ている。

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