2019年7月22日(月)

多摩川にひょっこり現れた人気者(平成のアルバム)
アゴヒゲアザラシ「タマちゃん」

コラム(社会)
2018/10/26 15:00
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横浜市の帷子川に姿を見せたタマちゃん=タマちゃんを見守る会提供

横浜市の帷子川に姿を見せたタマちゃん=タマちゃんを見守る会提供

東京都と神奈川県境を流れる多摩川に2002年夏、突然姿をみせた子供のアゴヒゲアザラシ。誰が名付けたか「タマちゃん」と呼ばれ、一目見ようと大人から子供までが川べりに列をなした。

「タマちゃーん!」と呼びかけると、ボートによじのぼって愛嬌(あいきょう)を振りまく日もあれば、数日間姿を見せず、ファンをヤキモキさせることも。花火大会や台風襲来にもめげず、その年の流行語大賞を獲得。関連グッズが多数売り出された。

翌年2月、タマちゃんが一冬を過ごした帷子(かたびら)川が流れる横浜市西区は「地域の魅力向上に貢献した」として「ニシタマオ」と命名し、特別住民票を発行。2週間で6000人以上のファンにコピーを配った。各地の自治体が動物や架空のキャラクターに住民票を乱発する流れをつくった。

「北の海に戻すべきだ」と主張する団体が捕獲を試みて失敗する一幕もあったが、タマちゃん自身は淡々とした様子。帷子川や埼玉県朝霞市の荒川などを転々とし、DNA鑑定でタマちゃんと確認されながらも04年4月を最後に目撃情報が途絶えた。

タマちゃんの写真を撮るファンたちが結成した地元の市民団体「タマちゃんを見守る会」は今も活動を続けている。メンバーの藤田智明さん(67)は「東京湾を出て、北の海に帰ったのだろう。今ごろは壮年期で元気にやっているはず」と目を細める。同会は10月中旬、横浜市で6年ぶりにタマちゃんの写真展を開いた。十数人のメンバーは今も定期的に集まり、タマちゃんのいなくなった川で渡り鳥観察などの交流を続けている。

タマちゃん 2002年8月7日、多摩川に現れたオスのアゴヒゲアザラシ。当時は1歳前後で体長約1メートルの子供だった。本来の生息域は北極付近で、泳ぐうちに迷って東京湾にたどり着いたとみられる。04年4月12日、消息を絶つ。

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