懲戒請求者に賠償命令 在日コリアンの弁護士が勝訴
弁護士の懲戒処分が昨年、各地の弁護士会に大量に申し立てられた問題を巡り、在日コリアンの金竜介弁護士(東京弁護士会)が懲戒請求者に55万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は23日、33万円の支払いを命じた。
懲戒請求は、各地の弁護士会が朝鮮学校に関する声明を出した後に申し立てられており、これに反発するブログの呼び掛けに応じた人々が出したとみられる。東京弁護士会では計18人が申し立てられた。
訴訟で金弁護士は「人種差別だ」と訴えた。請求した東京都の男性は出廷せず、書面も提出しなかった。判決で浅香幹子裁判官は、事実関係について訴えの内容を認定。金弁護士が在日コリアンであるために懲戒請求の対象になったとも認め、損害額を算定した。
金弁護士は判決後に「裁判所が違法と認定したことは意義がある」と話した。金弁護士によると、在日コリアンであるために対象になったと弁護士が訴えた同種訴訟は、東京のほか静岡、名古屋の各地裁で計数十件起こされており、今回が初の判決。
東京弁護士会は2016年4月、朝鮮学校への適正な補助金交付を求める会長声明を公表。これを非難するなどの趣旨で17年11~12月、約950人から懲戒請求を申し立てられた。18人のうち10人は声明を出した会長や副会長らだったが、他の8人は役職についておらず、仕事上のつながりもなかった。金弁護士は「名前から在日コリアンと推測され請求対象となった。人種差別だ」と主張していた。
東京弁護士会は全員を懲戒処分にしないことを決めている。
〔共同〕