2019年5月26日(日)

ベトナム、書記長が国家主席を兼務 集団指導体制は継続か

2018/10/23 21:44
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【ハノイ=大西智也】ベトナム国会は23日、最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長(74)が、9月に死去したチャン・ダイ・クアン氏が就いていた国家主席を兼務する人事を決めた。集団指導体制を慣例とするベトナムで序列1位の書記長、2位で元首の国家主席を兼務するのは異例だが、人事を巡る権力闘争を避けて政治の安定を最優先とする狙いがありそうだ。

ベトナム国会で共産党書記長と国家主席の兼務が決まったチョン氏(23日、ハノイ)=ロイター

チョン氏は同日の国会で「自分は高齢だが、責任を果たすためにこれまで以上に国のために努力をしていきたい」と話した。今後の国家運営については具体的に言及しなかった。これまで進めてきた国営企業の民営化や規制緩和を引き続き進める方針とみられる。

序列1位と2位の役職の兼務は1976年の南北ベトナム統一後、事実上初めて。ベトナムの国家運営では、共産党書記長、国家主席、首相、国会議長を「トップ4」と呼び、特定の人物への権力集中を避けてきた。中国では93年以降、共産党トップの総書記が国家主席を兼務している。

チョン氏は2011年に党書記長に就任し、現在2期目。外交上の顔である国家主席を兼務することで、チョン氏の権力基盤が強化されることになる。次の党大会がある21年までは兼務が続く見通し。首相や国会議長を含めた集団指導体制は継続するとみられる。

現体制の任期は残り2年強。チョン氏は高齢のため、次期党大会で引退するとの見方が強い。政治的混乱を避けるためにも、当面はチョン氏の兼務が最善との判断に落ち着いたようだ。

国民から反対論が出なければ、21年の改選以降も同一人物による2ポスト兼務が続く可能性がある。死去したクアン氏は16年に国家主席に就任し、当初はチョン書記長の後任になるとの見方もあった。

ベトナムは南北に分かれて戦争を繰り広げた歴史も持つ。序列1位の書記長は共産党支配を重んじる北部か中部の出身者で占められてきた。北部出身のチョン氏に権力が集中することで「改革スピードが遅れるのではないか」との声もある。

ベトナムは東南アジア各国の中でも外資の直接投資を積極的に受け入れることで高い経済成長率を維持してきた。18年7~9月の実質国内総生産(GDP)は6.88%増だった。米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の新協定「TPP11」も国会承認の手続きを進めている。

ベトナムは共産党一党独裁体制が続いているが、良好な経済環境を背景に国民は現政権をおおむね支持している。「トップ4」の体制が崩れても「経済政策の大幅な変更はない」(ベトナム共産党筋)との見方が多い。

ただ中国が軍事拠点化を進める南シナ海の領有権問題は解決策が見えない。ベトナムにとって中国は最大の貿易相手国である一方で、国民の間では反中感情が根強い。親中派と目されるチョン氏は外交政策で微妙なかじ取りが問われそうだ。

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