2019年8月23日(金)

タイ、漁船登録を厳格化 EUの警告に対応

2018/10/23 23:00
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タイ政府が労働規制や漁獲量を順守しない違法漁船の排除に動き出した。欧州連合(EU)が漁船での労働者酷使などを批判しタイ水産品輸入禁止の警告を発しているためだ。食品大手も政府に歩調を合わせる。

「バーン、バーン」。9月中旬、漁業が盛んなタイ中部のサムットサコーン県。重機が古い漁船を押し潰す音が響いた。政府がEU加盟国の大使らに無登録の漁船を解体する様子を披露し、乱獲や乗組員に対する強制労働などの違法漁業の防止に向け強い姿勢で臨む姿勢をアピールした。

タイ漁業を巡ってはミャンマー出身者らを劣悪な環境で働かせていると欧米非政府組織(NGO)が問題視。原料を調達するタイ・ユニオン・グループやチャロン・ポカパン(CP)フーズなど食品大手が批判の矢面に立った。

EUは2015年、漁船管理制度や水産品のトレーサビリティー(生産履歴の追跡)が不十分だとしてタイを監視国に指定。改善しなければ水産物輸入禁止と警告した。

タイ政府は15年から18年にかけて、漁船に登録プレート設置を義務付け、登録漁船のリストを全港の当局に提供することなどを盛り込んだ法改正を実施した。持ち主が見つからない漁船の解体も進める。

漁船の免許を取るには全地球測位システム(GPS)追跡装置の設置や外国人乗組員の登録が必要で、高い費用などを嫌って手続きをしない船主が多かった。こうした船が違法漁業の温床となっているが、当局が摘発しても船主が特定できず罰則を科すのが難しいことが問題だった。

政府は「違法漁業の撲滅に努力してきた」と強調する。18年8月中旬までに登録が済んだのは約1万隻。無登録の漁船は激減したという。

タイ・ユニオンやCPフーズなどは欧州に冷凍エビやツナ缶を中心に輸出しており、EUは米国や日本に続く主要な市場だ。現地調査会社は輸入禁止になれば最大5億ドル(約550億円)の損失が出ると予測する。それだけに両社は違法に外国人を働かせている漁船との契約解除などを進め、今後も政府と足並みをそろえていく覚悟だ。(バンコク=岸本まりみ)

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