トルコ大統領が見解表明へ、サウジ記者殺害事件
【イスタンブール=佐野彰洋】サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏がトルコで殺害された事件で、同国のエルドアン大統領は23日、首都アンカラで演説し捜査状況を踏まえた自らの見解を表明する。工作員の「過ち」だったとするサウジ側の説明を退け、事前に計画された組織的犯行だったと指摘するとの観測が浮上している。ただ、焦点となっているムハンマド皇太子の関与の有無に踏む込むかは不透明だ。
演説は日本時間23日午後5時45分開始予定の与党の会合で行われる。
サウジ政府を批判してきたカショギ氏は2日にトルコの最大都市イスタンブールのサウジ総領事館を訪れ、館内で殺害された。エルドアン氏が事件について見解を示すのは、20日にサウジ政府が館内での死亡を認めて以降初めて。21日に「ありのままの真実」を明らかにすると予告していた。
サウジ側は当初、カショギ氏は「総領事館を立ち去った」と説明したが、トルコ当局は殺害時の様子を録音したとされる音声ファイルの内容などを内外のメディアに非公式に流し、説明の矛盾を突いた。
サウジは説明を二転三転させた末に「与えられた権限や責任を超えた者による仕業」(ジュベイル外相)と殺害を認めたが、皇太子の関与は否定している。
欧米はサウジへの不信を強めており、ドイツのメルケル首相は22日、サウジへの武器輸出凍結を表明した。サウジと親密な米国のトランプ大統領はサウジ側の説明に「満足していない」と述べたが、武器輸出の停止には慎重な姿勢を崩していない。