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資産運用3巨人、GAFA株価も左右 世界市場の1割

アップル、アルファベット、フェイスブックの筆頭株主をご存じだろうか。実はいずれも米資産運用大手バンガード・グループだ。同社にブラックロック、ステート・ストリートを加えた3社が世界の株式市場を席巻している。3社の株式運用額は1000兆円に迫り、世界の時価総額の1割超に相当する。議決権を通じた社会への影響力も日増しに高まっている。

バンガード、ブラックロック、ステート・ストリートの株式運用額は合計で約8兆8千億ドル(990兆円)。東証1部の最近の時価総額(約600兆円)を上回り、世界の時価総額(9月末)の10.4%に当たる。

共通するのは、米S&P500や日経平均株価など株価指数に連動するインデックス運用を主力としている点だ。低コスト運用を求める年金・個人や各国政府の政策などを追い風に成長した。

なかでもアップル、アルファベット、フェイスブックの筆頭株主となっているのが、バンガードだ。株式運用額は8月末時点で3兆6千億ドルに達し、深圳証券取引所の時価総額(2兆7千億ドル)を上回り、香港取引所(4兆1千億ドル)に迫る勢いだ。同社はインデックス運用の世界最大手。流入したマネーが指数の構成上位を占めるGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)の株価をさらに押し上げる結果となっている。

バンガードのコストの低さは際立つ。米国株に分散投資する「トータル・ストック・マーケットETF(上場投資信託)」の経費率は年0.04%。100万円投資して、投資家が負担するコストは400円だけだ。

同社は家賃の高いニューヨークやボストンではなく、ペンシルベニア州の郊外に本社を置く。日本法人のディビッド・キム社長は「常に投資家の立場で考え、商品とサービスを提供するのが最大の特徴だ」と話す。

企業に改善促す

こうした投資家は規模が大きく、市場への影響力が年々増している。

2017年、米石油大手オクシデンタル・ペトロリウムなど石油大手の株主総会で異変が起きた。気候変動に関する報告を株主に提出するよう求めた米カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)などによる株主提案が続々と可決された。

原動力となったのは、「(対応に)改善がみられない」として株主提案に賛同したブラックロックなどの投資家だった。「インデックス運用だからこそ、企業の長期安定成長を目指し、健全な経営を働きかけている」(ブラックロック・ジャパンの有田浩之社長)。

ダイバーシティー(多様性)の推進もテーマのひとつだ。ステート・ストリートは18年から日本の投資先に対して「最低でも1人、女性を取締役にするよう求め始めた」(ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの高村孝社長)。企業が女性登用に取り組まなければ、株主総会で反対票を投じるという。

資金流入に勢い

ただコストの最少化を目指すインデックス運用は投資先数の割にアナリストの数が限られ、企業への改善の働きかけには限界がある。ステートの新原謙介最高投資責任者(CIO)は「運用手数料が下がる中、どうすれば企業や社会に効果的に影響を与えられるかを考えている」と打ち明ける。

コンサルティング大手PwCによると、16年時点で17%だった世界の運用資産に占めるインデックス運用の比率は25年には25%まで高まる見通し。株価水準などあらかじめ定めたルールに沿って自動的に値下がりを回避するような新しいインデックス運用も登場。機動的な銘柄入れ替えが売り物のアクティブ運用の領域を侵そうとしている。

伝統的な資産運用会社からは株式指数に連動するインデックス運用について「市場の価格発見機能が消える」、「コーポレートガバナンスが空洞化する」などとの批判があがる。それでもよりコストの低い運用を求めるマネーの流入の勢いは止まらない。(四方雅之)

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