2018年11月15日(木)

JR北、見えぬ黒字化 多角化効果は薄く

サービス・食品
北海道・東北
2018/10/23 1:00
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経営再建を進めるJR北海道の赤字脱却に暗雲が垂れ込めている。このほど公表した収支見通しでは、2024年3月期の連結最終損益が43億円の赤字に。国からの年200億円の財政支援を前提としているにもかかわらず、当面は黒字化が見込めない。同社は鉄道の利用促進や事業の多角化で31年度に連結黒字化を目指すが、具体的な道筋は見えないままだ。

JR北海道の経営再建について協議する関係者会議(20日、札幌市)

JR北は20日、国土交通省、道、JR貨物など関係6者が参加した協議の場で24年3月期までの収支見通しを公表した。国が19、20年度に行うと決めている総額400億円の財政支援が21年度以降も年200億円規模で続くと仮定して試算した。

19年3月期の連結最終損益は169億円の赤字となる見通し。9月に発生した胆振東部地震による列車運休や復旧費などで23億円の損失が出る。国の支援が適用される20年3月期と21年3月期は最終赤字が12億~14億円まで縮小する見込み。

その後も鉄道利用者の減少などで赤字は続くが、31年度の連結黒字化を目標とする。ただ、高橋はるみ道知事が「このトレンドで31年度に突然プラスになるようには見えなかった」と指摘するように、24年3月期以降も視界は不良だ。

収支見通しによると、鉄道運輸収入を柱とする営業収益(単体)は24年3月期まで930億円前後と伸び悩む。一方、コストに当たる営業費用(同)は横ばいで推移し、本業の赤字体質を拭いきれない。そこで収支改善の柱に据えるのが鉄道運賃の引き上げだ。

島田修社長は20日の会議で「様々な形でご理解をいただき、手続きを前に進めていく必要がある」と説明した。消費増税が予定される19年10月に導入し、年40億円の増収を見込む。引き上げ幅の詳細は今後詰めるが、18年3月期の鉄道運輸収入(728億円)からみた運賃上げの効果は小さくない。

非鉄道事業部門の強化とコスト削減策もカギとなる。24年3月期のグループ会社利益は19年3月期比で42%増の47億円を見込む。ホテルやサービス付き高齢者向け住宅事業などで稼ぎ、24年度以降はマンション事業や札幌駅周辺の再開発でも収益拡大を見込む。利用の少ない駅の廃止や列車の効率運行などのコスト削減にも取り組む。

沿線自治体が一体となった鉄道の利用促進策も欠かせない。見直し対象路線のうち維持する8線区は国などの助成金を除くと、年間約120億円の赤字を見込む。JR北は地域と連携し、利用者増やコスト削減の計画を作成中。赤字幅を縮めるような取り組みが求められる。

国交省は21年度以降のJR北への支援の前提として、この利用促進策の実行などを求めている。31年度の「経営自立」には国からの財政支援が21年度以降も不可欠だ。JR北と自治体は共にこの問題に向き合う必要がある。

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