チョコブリ、色味長持ち 愛媛県、養殖魚の変色防ぐ新技術
愛媛県は22日、ブリなど養殖魚の切り身の変色を防ぐ技術を開発したと発表した。出荷前の魚に、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールを与えることで血合いの変色を5日間抑えるという。「チョコブリ」と名付け、早ければ年内にも試験販売を始める。和食ブームで需要が高まっている北米など、海外への輸出も視野に入れる。

県農林水産研究所水産研究センター(愛媛県宇和島市)と水産商社の宇和島プロジェクト(同)が共同開発した。県は飼育方法に関する特許を出願している。
県によると、出荷前のブリに20日間、チョコを10%配合した飼料を与えると効果が得られる。通常のブリは切り身にして2日で血合いが変色するが、チョコブリは5日持つ。ブリの筋肉中の色素の酸化をカカオポリフェノールが抑制することで、変色を抑える仕組みだ。通常のブリと比べて香りや食感などに違いはない。
養殖ブリ1キロあたり15円の生産コスト増になるが、県はチョコより効率よくポリフェノールを与えられるカカオバターなどを使用することでコストは圧縮できるとする。18年度中の量産化へ向けて研究を進める。
愛媛県はこれまでも、かんきつ類の搾りかすを飼料に使い、独特の香りをつけた「みかんブリ」などで流通拡大を図ってきた。今回のチョコブリと組み合わせ、臭みと変色を抑えたブリの養殖などへの展開も検討している。
今回の技術開発は17年10月ごろ、県がメーカーからチョコのサンプル提供を受けたことから着手した。