2018年11月14日(水)

トルコ「真実で正義示す」 サウジ記者殺害で23日声明

サウジ記者殺害
中東・アフリカ
北米
2018/10/22 19:02
保存
共有
印刷
その他

【リヤド=岐部秀光、イスタンブール=佐野彰洋】サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏がトルコのサウジ総領事館で殺害された事件をめぐるサウジ側の対応に、欧米の不満が高まっている。説明が不自然でぶれているためだ。

焦点はサウジの実力者、ムハンマド皇太子の関与の有無に絞られつつある。トランプ米政権は兵器の大口顧客で、世界最大級の原油供給国であるサウジとの関係悪化を避けたい意向だが、姿勢の変更を迫られる可能性がある。

サウジのジュベイル外相は21日、米FOXニュースに対し、同国政府高官として、カショギ氏が殺害されたと初めて認めた。だが、皇太子が関与したとの見方は否定。サウジ国営メディアは22日、サルマン国王と皇太子がカショギ氏の遺族に電話をかけ、弔意を伝えたと報じた。遺族は謝意を述べたという。

一方、トルコ当局は捜査を続けている。同国のエルドアン大統領は21日「ありのままの真実で正義を示す」と強調し、23日の与党会合で「声明を出す」と予告した。22日の親政権紙イェニシャファクは事件当日に容疑者の1人が計4回、皇太子側近に携帯電話で電話をかけていたと報じた。情報源は示していない。

カショギ氏は2日にトルコ最大都市イスタンブールにあるサウジ総領事館を訪れ、館内で殺害された。サウジは当初、カショギ氏が総領事館を出たとの説明を繰り返した。皇太子も「何も隠していない」と述べていた。

これに対し、トルコ当局は、サウジが送り込んだ工作員の情報や殺害時の様子を録音したとされる音声ファイルの内容などを内外のメディアに非公式に流し、サウジ批判の国際世論を醸成した。

2日、イスタンブール市内の自宅を出たカショギ氏と婚約者とみられる人物=A News提供・ロイター

2日、イスタンブール市内の自宅を出たカショギ氏と婚約者とみられる人物=A News提供・ロイター

サウジ政府は20日になると一転、国営メディアを通じカショギ氏が「総領事館内での争いで死亡した」と説明。結婚手続きで訪れた同氏が乱闘を始めたことの不自然さが指摘されると、匿名のサウジ当局者がロイター通信に「声を上げようとしたカショギ氏を黙らせようとして誤って死亡させた」との情報を流した。

これに対し、英独仏の3カ国外相は21日「誰に責任があるのかはっきりするまで、調査の継続を求める」という共同声明を発表。カショギ氏の死は「いかなる理由でも正当化できず、最も厳しく批判する」と述べた。

サウジを中東政策の基軸に据える米国の対応もぐらつく。トランプ米大統領は一時、サウジの釈明に理解を示したが、20日には「ごまかしやうそがあった」と不満を示した。サウジへの巨額の兵器輸出を優先し、議会で台頭する同国への制裁論には抵抗する構えをみせているが、それを維持できるかどうか不透明だ。

鍵を握るのが、サウジと対立するトルコだ。エルドアン氏が捜査情報をどの程度公表するのかは明確でないが、内容によってはサウジ側の説明に対する信頼が一段と低下することも考えられる。

米CNNは22日、カショギ氏が殺害されたとみられる2日、同氏の服を着て総領事館を出た人物の姿を捉えた監視カメラの画像を報じた。年齢や体格がカショギ氏に近いこの人物はサウジからトルコ入りしたメンバーの一人で、偽装工作要員だった可能性がある。

トルコのアルトゥンバシュ大学のアフメット・カスム・ハン教授は反トルコで知られるムハンマド皇太子の権力を「弱め、恥をかかせる」ことをエルドアン政権が目指していると指摘する。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報