サイバー防衛のココン、つながるクルマに集中投資

日経産業新聞
2018/10/23 6:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

サイバーセキュリティー事業などを手がけるココン(東京・渋谷)は、ヤフー投資子会社のYJキャピタルや住友電気工業などを引受先とする第三者割当増資で総額約28億円を調達した。主力のセキュリティー事業の研究開発やM&A(合併・買収)などにあて、事業の拡大を図る。倉富佑也社長に大型調達の狙いや今後の事業展開について聞いた。

――今回の大型調達の狙いを教えてください。

倉富佑也社長

倉富佑也社長

「自動車やあらゆるモノがネットにつながる『IoT』などのセキュリティー分野の研究開発に積極的に投資する。サイバー攻撃に対する防御を担う『ホワイトハッカー』を抱えるイエラエセキュリティ(東京・渋谷)やレピダム(同・同)のグループ入りによって、セキュリティー事業が中核となってきた。大手企業との協業をさらに進めていく」

「既存事業との相乗効果が期待できるM&Aも加速させ、事業を拡大していく。セキュリティー分野だけでなく、特にマーケティングやブランディング力が課題だ。どれだけとがった技術を持っていても、企業や世の中に伝わるサービスにつなげる必要があるからだ」

――事業の状況は。

「ウェブサイトや企業のネットワークの脆弱性診断で、IT(情報技術)企業やゲーム会社、金融機関などさまざまな業界から依頼がある。SOMPOホールディングスNTTデータなど大手企業との提携も増えている。GMOペパボともセキュリティーや人工知能(AI)などの共同研究を始めた」

――今回の調達先とはどのような連携を考えていますか。

「2017年から自動車メーカー向けに、脆弱性診断に関するコンサルティングが増えてきた。具体的にはハッキングへの対策レベルを診断するペネトレーションテストなどだ。(調達先の1社の)住友電工は自動車の配線に使われる電線『ワイヤハーネス』などを手がけており、自動車メーカーとの関係が深い。取引先の自動車業界向けのセキュリティー事業や製品開発で協業を図りたい」

――今後の展開を教えてください。

「『IoT』やコネクテッドカー(つながる車)の市場が大きくなるなか、セキュリティー意識はさらに高まっている。グループ会社は6社、従業員は全体で180人以上に増えた。引き続き積極的なM&Aを進める計画だが、グループ横断で事業を進められる柔軟な組織作りを進めたい」

――新規株式公開(IPO)の考えは。

「目標とする時期はまだ決めていない。ここ数年はスタートアップ企業でもIPOに頼らず一定規模の資金調達ができるようになっている。あせらないでじっくり事業を育てて、企業価値を高めることに注力したい。技術を磨き、さまざまな社会課題を解決できる大きい会社をめざす」

■ ■ ■ 記者の目 ■ ■ ■

ココンは積極的なM&A(合併・買収)で事業を多角化してきた。セキュリティー分野への横展開が奏功し、大手企業との提携の輪を広げている。診断技術ではクルマのほか、産業制御システムや電力インフラなどに注力する計画だ。

あらゆるモノがネットにつながる「IoT」や自動運転技術の市場が大きくなるなか、事業機会はそれだけ大きい。倉富社長は「サービスの依頼があったときにスピード感を持ってプロトタイプを提供できるようにする必要がある」と話す。

ココンの強みは国内外から集まるホワイトハッカーや暗号技術の専門家集団だ。セキュリティー人材では米国やイスラエルが突出するが、国内外のコンテストで上位に入るなど高い技術力を誇る。調達した資金をもとに技術開発だけでなく、さらなるM&Aに充てる方針だ。

M&Aで多角化した事業部門の連携強化が課題で、グループ会社のトップが参加する横断型のチームを立ち上げた。小回りの利くスタートアップならではの柔軟性を維持できるか、組織作りの巧拙が問われる。  (駿河翼)

[日経産業新聞 2018年10月23日付]

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