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ゴルフコースの進化が選手を強くする

編集委員 串田孝義

今年の男子ゴルフの日本オープンが行われた横浜カントリークラブの変貌ぶりは感動的でさえあった。クラブハウス前に大きく造成された緑の芝生のマウンドは開放的なムード。トーナメント開催時は選手とギャラリーが計算されたルートを行き交い、活気がある。

横浜CC西コースの改造を手がけたのが当代随一の誉れ高い、ビル・クーア氏とベン・クレンショー氏のコンビ。一面緑の鮮やかさはマスターズが行われるオーガスタナショナルGCに似た雰囲気を感じさせる。

日本オープンで初優勝した稲森。大会期間中、選手とギャラリーが計算されたルートを行き交い、活気があった(横浜CC)=共同

コース設定もフェアウエーを絞り込み、ラフを深くする例年の日本オープンとは一変。パー5が2ホールだけで、グリーンの大小、ホールの長短さまざまな13ホールのパー4を用意し、どこからでもグリーンを狙いたければ狙える(その代わり高度で多彩なショット技術も求められる)「セカンドショット」ゲームを選手に要求した。

ショットの不安を抱えながらも初日首位タイ発進するなど粘り強く戦った49歳、藤田寛之は日本オープン「らしくない」設定を高く評価した。

「僕が海外の試合に出ていたころ、向こうのコースは全部こんなイメージ。ラフでがんじがらめにしているのはいまや日本ぐらい。若い選手にはこういったコースで成績を出し、自信をつけていってほしい」

ゴルファーを強くするにはゴルフコースも世界基準へと進化し、プレーヤーにさらなる技術の向上を要求していく必要がある。昭和、平成の時代を通じて、日本男子の海外メジャー制覇はゼロ。これが日本のトーナメント開催コースの実力の現状だと素直に受け止めるよりほかない。だから松山英樹のように海外メジャーを真剣に狙う選手はいち早くガラパゴス化した日本を飛び出してしまう。米ツアーのライバルと切磋琢磨(せっさたくま)すると同時に、世界各地で日々進化を遂げるコースの最新潮流に触れ続けることができるからだ。

ミズノオープンはコース全長8007ヤードで行われ、16番(パー5)は705ヤードあった

バブル崩壊後、日本のゴルフ場への投資は縮小一途ではあったが、日本オープンが率先垂範しようとしたトーナメントコースの進化を先取りする動きもある。5月に全英オープンの日本予選を兼ねたミズノオープンの開催会場、茨城県ザ・ロイヤルGCはツアー史上最長8000ヤード超のコースへと改造がなされていた。

三井住友VISA太平洋マスターズを開く静岡県太平洋クラブ御殿場コースは今年4月亡くなった名匠加藤俊輔氏の原設計で知られるが、11月8~11日開催の今年は世界的な設計家、リース・ジョーンズ氏が手がけた全面改修工事のお披露目大会となる。松山英樹が監修で加わり、自身が世界で得てきたコース知見を国内に還元する初の試みとなる。

日本オープンは最終日のフェアウエーキープ率100%と「ショットを曲げない」一芸に秀でた稲森佑貴がプロ8年目で初優勝を飾った。ミズノオープンは4日間を通じて唯一アンダーパーで回ったショットメーカーの秋吉翔太がこちらもプロ初勝利。生まれ変わったコースで20代の初優勝者が相次ぎ誕生したのは単なる偶然ではないかもしれない。改造コースがもたらした新風が、男子ツアーの世代交代を促した結果とみることもできる。

緑のじゅうたんで開放的な横浜CCクラブハウス前の1番ホール

2020年東京五輪のゴルフが行われる埼玉県霞ケ関CC東コースは米国の名設計家、トム・ファジオ氏の手による国際基準のワングリーンへの改造が行われ、すでに生まれ変わっている。同コースで行われる日本ジュニア選手権を経験し、急成長するアマチュアがプロのトーナメントでたちまち上位に食い込むのもむべなるかなと思えてくる。

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