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ワールドシリーズ、勝敗の鍵握る3つの注目点

スポーツライター 杉浦大介

10月23日(日本時間24日)に開幕するワールドシリーズ(7回戦制)で米大リーグを代表する名門球団が対戦する。2年連続でこの舞台に進んできたドジャースは、実に30年ぶりの"世界一"を目指す。今季チーム史上最多の108勝(54敗)を挙げたレッドソックスが勝てば、この15年間で4度目の戴冠となる。フェンウェイ・パーク、ドジャースタジアムという歴史ある本拠地で開催される最終決戦は盛り上がりをみせそうだ。勝敗の鍵を握るとみられる3つのポイントを挙げ、今シリーズの行方を占ってみたい。

セールとカーショーのエース対決

今夏まで3年続けてオールスターで先発したクリス・セール、サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)に通算3度輝いているクレイトン・カーショー。球界を代表するこの2人の左腕が第1戦、第5戦で先発投手として対決することになりそうだ。2人は展開次第でほかの試合でもリリーフ登板する可能性があり、大黒柱の出来がシリーズに大きく影響することは間違いあるまい。

セールにとっての不安材料はコンディションがベストではないこと。左肩のけがの影響でシーズン最後の2カ月の登板機会は17回にとどまり、今プレーオフでも3試合で合計10回1/3を投げたのみ。ア・リーグ優勝決定シリーズでは腹部の不調を訴えて入院し、10月13日を最後にマウンドから遠ざかっている。球速の低下も指摘され、ワールドシリーズに万全な状態で臨める保証はない。

一方、30歳になったカーショーも全盛期の力はないという声が聞こえてくる。実際に今季は09年以来の1桁勝利(9勝5敗)にとどまった。地区シリーズでは第1戦先発を柳賢振に譲ったことが話題になった。それでも変化球をうまく使ってプレーオフでは4試合で防御率2.37とさすがの数字を残しているが、最優秀選手(MVP)候補に挙げられるムーキー・ベッツ、JD・マルチネスの2人を軸に、今季メジャー最高の得点力を誇ったレッドソックス打線も同じように抑えられるか。第1戦が行われるフェンウェイパークは指名打者制度が採用される打者有利の環境とあって、カーショーの投球が一段と注目される。

ともに輝かしいキャリアを歩んできた投手だが、セールは通算5試合で防御率5.85、カーショーは同28試合で4.09とプレーオフに強いというイメージはない。ここでついにチームをワールドシリーズ制覇に導けるかどうかは、2人のエース左腕の歴史的評価に少なからず影響を与えることにもなりそうだ。

マチャドとレッドソックスの因縁

7月18日に加入してから、マチャドはドジャースのベストプレーヤーとしてチームを引っ張ってきた。新天地で66試合に出場して13本塁打を放ち、プレーオフでも3本塁打、9打点。フェンウェイパークでもオリオールズ時代に通算8本塁打を放っており、今ワールドシリーズでも打線の核としての働きが期待される。

ただ、マチャドとレッドソックスとの間には因縁がある。17年4月21日、二塁での封殺プレーの際に危険なスライディングでマチャドは二塁手のダスティン・ペドロイアの左膝にけがを負わせてしまった。この行為に対する報復か、翌々日の試合でマット・バーンズがマチャドの頭部付近に投球。さらに5月の同一カードでもセールに危険球を投じられ、その後の打席で本塁打を打ったときはわざとゆっくりベースを一周するなど、両者のいがみ合いはエスカレートした。試合後、マチャドが「レッドソックスのすべての人間に対する敬意をなくした」とまくし立てたことも大きなニュースになった。

時は流れ、今年秋。懲りないマチャドは16日のブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズでも走塁時に一塁手のヘスス・アギラルの右脚を蹴り、再び物議を醸した。外野手のクリスチャン・イエリチから「汚い選手による汚いプレー」と罵倒されるなど、ダーティーなイメージも定着した感じがする。マチャド本人は我関せずだが、今シリーズの第1、2、6、7戦が行われるフェンウェイパークでも盛大なブーイングで迎えられることは間違いない。

第1戦の先発はセールだけに、波乱の予感もある。さすがにこの大舞台でこれ以上の報復はないだろうが、再びラフプレーがあった場合、荒れた雰囲気になることは避けられない。大リーグを代表する内野手であり、トラブルメーカーでもあるマチャドの一挙一動から目が離せない。

救援投手陣の健闘が戦況左右

救援投手陣はもともとドジャースが評判よく、層の厚さではレッドソックスを大きく上回っているようにみえる。守護神ケンリー・ジャンセンはプレーオフに入って6回2/3を投げて2安打、10奪三振でまだ無失点。ペドロ・バエス、ディラン・フローロ、前田健太、フリオ・ユリアス、アレックス・ウッド、ライアン・マドソンといった中継ぎ陣も好調だ。さらにはカーショー、リッチ・ヒルら先発投手陣も効果的に終盤イニングにつぎ込み、特にブルワーズとの優勝決定シリーズでは31回で防御率1.45と救援投手陣が頑張ったことが勝因の一つになった。

一方、レッドソックスの抑えの切り札クレイグ・キンブレルはポストシーズンの5度の登板のうち4試合で失点し、防御率4.50。とにかく毎試合のように大ピンチを迎えており、その5試合のすべてでセーブを記録したことがほとんど驚異的に思えてくる。ただ、このようにクローザーが乱調でもチーム全体が崩れなかったのは、ほかの救援投手陣が予想以上に健闘したからだ。

マット・バーンズ、ライアン・ブレイザー、ジョー・ケリーの3人は、合わせてポストシーズン防御率0.96(18回2/3で2失点)とほぼ完璧。中盤イニングが安定したことが、プレーオフでも変わらないレッドソックスの強さを支えているようにみえる。この救援投手陣の健闘が続くかどうかも、ワールドシリーズのポイントの一つか。強力打線に加え、先発投手陣でも2番手のデビッド・プライスが復調傾向とあって、あとは救援投手が頑張れば弱点はなくなる。そうなると、今季の大リーグ最高勝率を残したレッドソックスが通算9度目のワールドシリーズ制覇に向けて突っ走る可能性が高まる。

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