2019年5月20日(月)

硫黄山噴火 半年 水質改善めど立たず、稲作来季断念も

2018/10/20 11:54
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宮崎、鹿児島県境に位置する霧島連山・えびの高原(硫黄山)が4月、250年ぶりに噴火して半年を迎えた。周辺の川では直後から有害物質が検出され、水質改善のめどはいまだ立たない。コメ農家への影響は深刻で、来季以降も生産が危ぶまれる状況だ。火山活動に終息が見えない中、自治体は大学と連携し、対策を模索している。

乾ききった田んぼ、雑草が生い茂る用水路……。硫黄山の噴火後、麓の宮崎県えびの市では長江川が白く濁り、高濃度のヒ素などが確認された。水稲農家364戸(269ヘクタール)が作付けを断念。合流する川内川流域の鹿児島県湧水町と伊佐市は風評被害を懸念し、計584ヘクタールで取りやめた。

宮崎県による長江川水系の水質調査では、住民が生活する範囲は、環境基準をほぼ満たすまで有害物質濃度が低下した。一方、硫黄山は依然として噴気を上げ、山頂に近い地点は強い酸性の状態が続く。県は飲用や農業用水として使わないよう呼び掛けている。

霧島連山・硫黄山から流れる強酸性の水に石灰石を投入し、中和させる試験をする宮崎大学の伊藤健一准教授(9月20日、宮崎県えびの市)=共同

霧島連山・硫黄山から流れる強酸性の水に石灰石を投入し、中和させる試験をする宮崎大学の伊藤健一准教授(9月20日、宮崎県えびの市)=共同

稲作再開には、代替水源の確保が不可欠だ。ただ、えびの市によると、来季に見込める代替水源は最大51ヘクタール分。断念した田んぼの約8割には行き届かない状況で、ため池造成や水路改修などで対応するにも、多くの時間を要するという。

「将来的には稲作を諦めるよう伝えることもあり得る」と市職員は顔を曇らせた。市は、少ない水量で栽培できる飼料やキャベツなど露地野菜への転作を勧める。

水質汚染の抜本的な解決策を探る取り組みも始まった。9月下旬、県から委託された宮崎大は、硫黄山から流れる強酸性の水をポンプでくみ上げ、石灰石を投入して中和させる試験を実施。これを元の川に戻すことで、基準を満たすようになるか検証した。

主導した伊藤健一准教授(地盤環境工学)は、一定の改善効果が確認されたとしつつ「硫黄山の地質そのものが有害物質を多く含む。火山活動の高まりによって、再び濃度が上がる可能性がある」と指摘する。

えびの市・灰塚地区。汚染の影響を免れた西平八郎さん(68)は10月上旬、約0.7ヘクタールの田んぼで収穫できた。だが、断念に追い込まれた仲間も多い。「自然の前に無力さを感じる。協力しながら乗り越えるしかない」と訴えた。〔共同〕

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