結城紬の伝統紡げ 原料の糸、全国から募る

2018/10/20 9:26
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茨城県や栃木県の特産品で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されている高級絹織物「結城紬(つむぎ)」の材料となる糸を紡ぐ職人が、高齢化に伴い減っている。産地の関係者は、年齢や作業場所を選ばない技術であることに着目。初心者でも一人で始められる道具や手引のセットを製作し、全国に貸し出して糸を集める取り組みに乗り出した。

結城紬の材料となる、糸の紡ぎを体験する担い手育成説明会の参加者(茨城県筑西市)=共同

「みなさんと一緒に手を携えて後世に伝えたい」。8月下旬、茨城県筑西市で開かれた糸紡ぎの担い手育成に向けた説明会。本場結城紬卸商協同組合の奥沢武治理事長が、参加した女性約30人に協力を求めた。

結城紬の一番の特徴は、真綿から人の指先で紡ぎ出される糸だ。手作業の糸は空気を含むため、布は柔らかく温かくなるという。説明会では伝統工芸士から「左手で綿を引っ張り、右手に唾液を付けて繊維を固めて」とアドバイスを受け、参加者も作業を体験した。

結城紬では、まず煮てほぐした繭を引き延ばし真綿を作る。続く工程が糸紡ぎだ。同組合によると、戦後のピークだった1980年ごろに約5千人いたとみられる職人は現在250人ほどに。平均年齢は70歳を超える。

道具セットは、危機感を持った生産や卸商など産地の5つの組合が連携して製作し、今年から貸し出しを始めた。従来は正座でしか作業できなかった道具を、椅子に座っても作業できるよう改良した。借りた人は一定期間内に決められた量の糸を納品。組合側が太さや重さを検査し買い取る流れだ。性別、年齢、居住地は問わない。

説明会に参加した茨城県下妻市の会社員、鈴木紗彩さん(29)は「困っていることを知り、携われる機会があるなら挑戦したいと思った」と話した。

これまで県内のほか北海道や山形県、長野県などへ約70セットを貸し出し、約2キロの糸が送られてきた。細く均一に紡ぐのは難しいが、生産者に販売されたものもある。同組合の藤貫成一副理事長は「糸を失えば文化全てが無くなる。一人でも多くの人に協力してほしい」と呼び掛けている。〔共同〕

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