KYB不正、病院・マンションに動揺 「裏切られた」

2018/10/19 21:33
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油圧機器メーカーのKYBによる免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、同社が不正の疑いのある製品を設置した物件は987件に上るとされる。自治体から連絡を受けた病院では「早く取り換えてほしい」と患者らに不安が広がる。タワーマンションの住民は「裏切られた」「まだ何も説明がない」といら立ちの声を上げた。

KYBの免震装置を使用していることを知らせる病院の張り紙(19日、川崎市の市立井田病院)

「皆様にはご心配をおかけしますが、随時情報提供を行ってまいります」。2014年に完成した7階建て新館に、不正の疑いのある免震装置6基が使われていた川崎市立井田病院。17日に市から連絡を受け、総合受付やナースステーション前に自主的に張り紙を掲示した。

「いつ大きな地震が来るか分からないので怖い」。国土交通省は不正装置を使った施設でも震度7程度の揺れで倒壊の恐れはないとしているが、8月から下半身の手術で入院してつえを使う生活を続ける横浜市の女性(68)は「業者や国のチェック機能はどうなっているのか」と憤る。

毎週内科に通院している川崎市の60代主婦は「問題の製品をすぐに取り換えて、安全な状態になってほしい」と求めた。

神奈川県は井田病院を大規模災害時に中心的な役割を担う災害拠点病院を支援する「災害協力病院」に指定している。同病院の迫田信一郎庶務課長(49)は「市と協力し、一日も早く利用者の不安を取り除けるよう努める」と話した。

「信頼していたのに裏切られた」。東京都世田谷区にある高級タワーマンションの21階の部屋を約10年前に新築で購入した女性(42)。購入前に営業担当者から見せられた地下の免震装置が高層階を買うきっかけだった。

同マンションは国交省の資料で不正装置の使用が指摘されているが、19日にKYBが施設名を公表した70件には含まれていない。女性は「KYBは民間物件を後回しにせず責任を持って早く工事をしてほしい。資産価値が下がってはたまらない」と訴えた。

4年前から19階に賃貸で住み、3歳と1歳の子供を育てる女性(36)は「納得できる説明がなければ引っ越ししたい。賃貸だったのがせめてもの救い」。KYBからも管理会社からもまだ説明はないという。

マンションの施工会社も「KYBから説明がなく、状況を把握できていないので住民に知らせようがない」(担当者)と困惑している。

施設名が公表された自治体も対応に苦慮する。19日の資料で名前が挙がった新宿区役所は、14~15年の免震改修工事で不正な疑いの免震装置32本を導入した。同区総務部の担当者は「データ書き換えがあったかどうか、詳細な説明と安全性の検証や対策などを強く求めていく」と話すにとどめた。

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