2018年11月17日(土)

マツダ、スカイアクティブ成功の鍵はモデルベース開発

自動車・機械
科学&新技術
BP速報
2018/10/19 14:42
保存
共有
印刷
その他

日経クロステック

「スカイアクティブテクノロジー(以下、スカイアクティブ)はモデルベース開発(MBD)という考えがあったからこそ成功した」──。マツダ統合制御システム開発本部首席研究員の足立智彦氏が2018年10月17日、「日経 xTECH EXPO 2018」(同年17~19日、東京ビッグサイト)の特別講演に登壇した。極めて少ない開発人数であるにも関わらず、エンジンと車両を合わせた刷新技術であるスカイアクティブの開発を成功させた鍵が、「マツダ流MBD」にあると語った。

マツダ統合制御システム開発本部首席研究員の足立智彦氏(撮影:中村宏)

マツダ統合制御システム開発本部首席研究員の足立智彦氏(撮影:中村宏)

■実機作らず開発進める

MBDは、シミュレーション技術を駆使した開発手法。開発対象をモデル化し、効率的に最適化する開発方法である。足立氏は、マツダ流MBDについて、「設計に生かして望むものをつくり出すためのCAE(コンピューター・エイデッド・エンジニアリング)の使いこなしの哲学(考え方)」と表現する。CAEをうまく使いこなし、できる限り実機を作らずに机上検証で最適解を見つけ出して開発を進める。実機を作らないことで、手戻りなどにかかる工数と費用、時間を抑えることができる。

マツダがスカイアクティブの開発を本格的にスタートさせたのは2006年。当時、同社は米フォード・モーターの傘下にあり、同社にエンジンを提供するだけの役割を担っていた。そのため、エンジンの先行開発部門の人数はわずかに30人だった。その上、市場ではハイブリッド車(HEV)が幅を利かせていた。

そこで、スカイアクティブの開発では、エンジン車でありながらHEV並みの30km/Lという高燃費を目指した。こうした極めて高い目標と、クルマ全体(エンジンと車両)を一新するという膨大な仕事量を、量産に耐える品質でしかもスピーディーに開発するために、マツダが切り札としたのがMBDである。

■最も難しい部分からモデル化

MBDではモデルが必要だ。レンジにごとにモデルを作り、モデル化率を高めていく。このモデル化率がMBDの成否を握る。モデル化のポイントは「簡単な所からやってはダメ。最も難しい重要な部分からモデル化すること。それができれば道が開ける」(同氏)。

マツダにとって、その最も難しく重要な部分とはエンジンの燃焼だった。燃焼のモデル化に成功したことが、スカイアクティブの実現につながったという。

きっかけは、燃焼効率を高めるために圧縮比15のガソリンエンジンの開発に着手したこと。このとき、従来のCAEは役に立たなかった。そこで、マツダは燃焼のメカニズムを追究。ガラスを使ったエンジンで可視化しながら、流動や燃焼の現象を観察して燃焼の仕組みを解明した。それを基にモデル化し、シミュレーションに使えるものを作ることができた。

その後、同社はセンサーやアクチュエーター、トランスミッションなどを含めて全てをモデル化。いったん、こうしたモデルが出来ると「世界がガラリと変わる」(同氏)。実機がなくても、オフィスでいろいろな検討を行い、設計から車両評価までできるようになるからだ。これにより、エンジンの効率やトランスミッションの効率、さまざまな消費デバイスの効率といった全てのエネルギー効率を考慮し、最適化する戦略を机上で徹底的に描ける利点もあるという。

MBDの成果について足立氏は、手戻りを防いで生産性を高める効果も、品質向上の効果も2倍以上あり、その上で最適解を求められる効果もあると語った。

(日経 xTECH 近岡裕)

[日経 xTECH 2018年10月18日掲載]

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

日経BPの関連記事

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報