「情報銀行」説明会に200社 データ流通の枠組み始動

2018/10/19 13:28 (2018/10/19 21:37更新)
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総務省とIT(情報技術)の業界団体が19日、個人のインターネット購買履歴など様々なデータを集め、活用したい企業に提供するサービス「情報銀行」について、事業者として認定する条件の説明会を開いた。電機や金融などの200社が参加した。2019年3月にも第1号の認定を出す計画だ。

約200社から関係者が詰めかけた(19日、総務省)

総務省と日本IT団体連盟(会長=川辺健太郎ヤフー社長)が東京都内で開いた説明会は、400人ほどが会場を埋め尽くし、認定条件に耳を傾けた。18年12月から情報銀行の認定に関する受け付けを始める。

情報銀行はまず個人からデータの提供を受ける。銀行は預かったデータを活用したい企業に提供する。例えば通販サイトA社は入手データから消費者の行動パターンを分析するといったことが可能。特徴は、データがどの企業に渡るかなどについて個人が同意した条件でのみ流通する点だ。

情報銀行の認定業務を始めるのは、データを所有する個人が安心してデータを預けられる環境整備が不可欠だからだ。情報銀行は今後多くの設立が見込まれるが、他人に知られたくない個人情報をきちんと管理できているか、データを預けることになる一般利用者はなかなか判断しにくい。業界団体が基準を示すことでデータ流通を促進させる。

認定を出す際、例えば、第三者によるデータの利用をチェックする機関「データ倫理審査会」の設置を銀行に求める方針だ。審査会はデータ解析のエンジニアや弁護士といった幅広い専門家で構成するよう求める。損害賠償責任が生じた場合への対応策も審査会でチェックする。

情報銀行の仕組みが動き出すとデータによって新たなサービスの提供が可能になる。三菱UFJ信託銀行はスタートアップのノーニューフォークスタジオ(東京・千代田)と協力し、個人の歩行データなどを集め、サービスへの活用を目指す実証実験を始めている。

電通は、情報銀行を手掛けるマイデータ・インテリジェンス(東京・千代田)を9月に設立した。11月から交流サイトを使った企業の販売促進代行のサービスを始める。個人から商品の購買履歴や位置情報、連絡先などのデータを預かり、企業はデータを利用するごとに個人に割引クーポンなどの対価を払う。

個人のデータの取り扱いを巡っては、世界で管理が強化される方向にある。欧州連合(EU)は今年5月、一般データ保護規則(GDPR)を始めた。個人の権限を強化しており、データを提供するかどうかは個人が決められる。ポータビリティーと呼ぶ権利だ。情報銀行の仕組みにも生かされている。

一方で、世界のネット市場では米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)と呼ばれる巨大IT企業が、膨大なデータを集めてサービス開発などに生かしている。総務省は「データ流通が自由な米国と規制のいいとこどりを目指す」という。

データを使うサービス開発は米中勢が先行している。日本の動きがスピードを欠けば産業の競争力は引き離されかねない。ただ、説明会の参加者の間には「情報銀行という言葉から規制のイメージが強い」という声があった。官庁のかかわり方次第では「サービス開発が遅れる可能性もある」という指摘もある。国が情報銀行の普及にどこまで関わるべきかについて議論が分かれている。

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