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投手より野手? ドラフト戦略がチームを決める
野球データアナリスト 岡田友輔

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2018/10/21 6:30
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10月25日のプロ野球ドラフト会議が近づいてきた。選手にとっての「運命の一日」は球団にとっても将来を左右する一大イベントだ。抽選で引き当てたスター候補が期待外れに終わることもあれば、下位指名からチームの顔に成長する選手もいる。本物の"当たり"はどこに潜んでいるのか。様々なリスクとリターンを踏まえ、ドラフト戦略を考えてみたい。

大リーグは「MVPは野手から」

米カブスのセオ・エプスタイン副社長は「ドラフトでは野手を優先的に取り、投手は完成品をフリーエージェント(FA)など市場で獲得する」という方針を明言している。108年ぶりとなった2016年のワールドシリーズ制覇は11年に就任した同氏が掲げた「5カ年計画」の集大成だった。カブスは今年もポストシーズンに進出した。かつての弱小球団が強豪に生まれ変わったのは、エプスタイン氏の手腕に負うところが大きい。

野手を優先するのにはそれなりの根拠がある。「野球は投手」といわれるように、投手は勝敗に大きな比重を占める。ただし、ここで注意が必要だ。確かに1試合だけを考えれば、抜群の力をもった先発が完投すればチームは高い確率で勝てる。ところが長丁場のペナントレースでは事情が変わってくる。というのも、野球における役割分担は基本的に野手が6割、投手が4割という比率になっているからだ。

CSで対戦したヤクルト・山田哲(手前)と巨人・菅野。今季は圧倒的な成績を残した菅野も、WARでは山田哲に及ばない=共同

CSで対戦したヤクルト・山田哲(手前)と巨人・菅野。今季は圧倒的な成績を残した菅野も、WARでは山田哲に及ばない=共同

攻撃と守りの重要性は50%ずつ。攻撃でオーダーに名を連ねるのは9人だから、50を9で割った5~6%が打者1人あたりの試合への関与度となる(打順により変化する)。一方、守備側の50%の内訳は7~8割が投手(三振の数などにより変化する)、残りが野手(守備力)という比率になる。二塁や遊撃など守備機会の多いポジションであれば、攻撃と合わせ、試合の8%程度に関与することになる。

ところが投手はそうはいかない。年間フルイニング出場も可能な野手に対し、現代野球の登板間隔で投手が試合に関われるのは、200イニングを投げてもシーズンの総イニングの15%程度にとどまる。攻撃面ではほとんど戦力にならないため(パ・リーグでは打席にも立たない)、シーズンを通した関与度はエース級でも5~6%にとどまる。「神様、仏様、稲尾様」や「権藤、権藤、雨、権藤」のように1人で多くのイニングを投げ抜いた時代には、最も影響力があったのは投手だったケースもあったろうが、現在のペナントレースではよほどのことがない限り、最も優れた野手に及ばない。

大リーグの最優秀選手(MVP)が専ら野手から選出されるのも「勝敗への影響は野手の方が大きい」という前提が共有されているからだ。前回紹介した「WAR」という勝利への貢献度を測る指標を思い出してほしい。今季、圧倒的なパフォーマンスで沢村賞の7項目をすべて満たした菅野智之(巨人)は7.6勝分と、投手では突出している。それでも、二塁を守りながら打率3割1分5厘、34本塁打、33盗塁を残した山田哲人(ヤクルト)の8.4勝分には及ばないのである。

実は「投手は水物」

もうひとつ注意したい固定観念は「打撃は水物」というものだ。大量得点を挙げた翌日、打線が沈黙するのは確かによくある。しかし、シーズン単位でみると"水物"なのは打者よりも投手なのである。

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