2018年11月15日(木)

武侠ファンタジー 里帰り 宝塚星組が台湾公演(もっと関西)
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2018/10/19 11:30
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宝塚歌劇団の星組が、歌劇団として3度目となる台湾公演に臨む。演目は「Thunderbolt Fantasy(サンダーボルトファンタジー) 東離劍遊紀(とうりけんゆうき)」。日台でテレビ放映されて人気の人形劇が原作だ。前2回は台北のみだったが、今回は南部の高雄でも上演。台湾の宝塚ファンに原作のファンも加え、現地で新たな宝塚旋風が巻き起こりそうだ。

古代中国の世界観をベースにした異世界の物語。魔神に対抗すべく、人類は仙人の力を借りて最強の聖剣を生み出す。男役トップスターの紅ゆずるが演じる主人公は、謎多き美丈夫の凜(りん)雪鴉(せつあ)。彼を軸に弓の名手や槍の使い手、呪術の達人、悪名高い殺し屋など個性豊かな登場人物が入り乱れ、それぞれの思惑を胸に聖剣を目指す。

■迫力ある殺陣・格闘

紅ゆずる(中)は謎めいた美丈夫、凜雪鴉を演じる(8月、大阪市の梅田芸術劇場)

紅ゆずる(中)は謎めいた美丈夫、凜雪鴉を演じる(8月、大阪市の梅田芸術劇場)

いわゆる「武侠ファンタジー」だ。冒頭から迫力ある激しい殺陣が続く。映像などで特殊効果もふんだんに駆使。派手な格闘場面に加え、キャラクターの心理戦や駆け引きのドラマも見応えがある。国内では8月から9月、東京と大阪で上演した。

台湾では20~28日に台北、11月2~5日に高雄の全13日間20公演で、第1回の12公演、第2回の14公演からスケールアップする。2013年の第1回台湾公演にも参加した紅は「台湾から(本拠地)宝塚大劇場まで見にいきたいと思ってもらえるように頑張りたい」と意気込む。

原作は台湾の人形劇「霹靂(ぴり)布袋劇」の同名作品。霹靂は伝統芸能の人形劇の一種、布袋劇を現代的にアレンジしたもので、台湾では1990年代から人気を確立している。

原作は美形ぞろいのキャラクターや人形とは思えないリアルな動き、重層的なストーリーで若者を中心に現地で爆発的な人気を呼んだ。アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」などで知られる日本のアニメ脚本家、虚淵玄(うろぶちげん)が脚本を担当。日本では2016年にテレビ放映され、今月に第2シーズンが始まった。

演出の小柳奈穂子は舞台化にあたり「まずは宝塚ファンを増やすことが最優先。そのために宝塚の美しさを出すことを第一に考えた」。そのうえで原作の世界観を損なわないよう「映像や音響効果、発光ダイオード(LED)装置を使ったりと(様々な工夫が必要で)苦労した」。

■人形らしさ再現

主演の紅ゆずる(右)と演出の小柳奈穂子

主演の紅ゆずる(右)と演出の小柳奈穂子

原作が人形劇だけあって、人形らしい容姿や動きを取り入れることにも気を配った。紅は原作の人形をじっくり研究したといい、「目の芝居が多いので(通常より目を強調した長いまつげにしようと)つけまつげを海外から取り寄せ、自分で切り貼りしたオリジナルを使っている」。小柳も「公演を重ね、より人形らしい動きを加えた」と、細部の改善を続ける。

一方で小柳は「宝塚でここまで(自分の)趣味に走った作品はあまりない」と打ち明けて笑う。第1回台湾公演の準備の際、現地で霹靂布袋劇の魅力を知った。虚淵については、アニメ「まどマギ」がヒットする前からその骨太で端正なストーリー展開に魅せられていたという。

気功を使った技の攻防や呪術、秘剣の必殺技など、日本のアニメ・ゲーム的な要素もふんだんに込められている。代表作「ベルサイユのばら」など、漫画原作の上演も多い宝塚にとっても異色作と言える。

今回、虚淵は脚本・総監修を務める。「人形が演じていた様々な感情を宝塚が見事に実体化した」と述べる。原作の制作会社、霹靂社の黄強華会長は今回の公演について「世代と文化を越えて散らされる火花が、芸術に国境はないことを実感させてくれる」と高く評価する。

他にショー「Killer Rouge/星秀☆煌紅」(作・演出・斎藤吉正)も上演。国内の各映画館で28日、台北公演を中継する「ライブビューイング」を予定。日本からもスクリーンで鑑賞できる。

(大阪・文化担当 佐藤洋輔)

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