ノバルティス、米がん薬メーカーを約2300億円で買収
【フランクフルト=深尾幸生】欧州製薬大手のノバルティス(スイス)は18日、米国のがん治療薬メーカー、エンドサイトを買収すると発表した。買収額は21億ドル(約2360億円)。放射性医薬品に強みを持つエンドサイトを買収することで、先端医療への集中を加速する。
エンドサイトは米パデュー大学発のバイオ医薬品メーカーでナスダックに上場している。ノバルティスは17日の終値に54%上乗せした1株24ドルで全株を取得する。
買収により、エンドサイトが開発中の有力な新薬候補を手に入れる。前立腺がん向けの新薬で、生化学物質が、がん細胞だけを狙って攻撃する特長を持つ。
ノバルティスはがん治療薬などの先端医薬品分野を強化している。39億ドルを投じた放射性医薬品会社の仏アドバンスト・アクセラレーター・アプリケーションズ(AAA)の買収を2月に完了。高い効果が見込まれる新型のがん免疫薬「キムリア」では米国と欧州連合(EU)で承認を受け、事業の柱に育てる。
一方、6月にコンタクトレンズなどを手がける眼科分野の子会社アルコンをグループから分離する方針を発表したほか、3月に一般用医薬品(大衆薬)の合弁事業を、合弁相手の英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)に売却することで合意した。
ノバルティスが同日発表した18年7~9月期の純利益は22%減の16億2300万ドル、売上高は3%増の127億7900万ドルだった。眼科分野の一部事業からの撤退などが響き減益となった。